「Rigged Out/fitters」デザイナー パリサ・パルニアン

By Yuki Keiser 2006.11


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2. 「Rigged Out/fitters」について

Profile: パリサ・パルニアン
Parisa Parnian 1972年イラン首都テヘラン生まれ、アメリカ・アリゾナ育ち。ニューヨークのParsons School of Designでファッション・デザインを学んだ後、数々のアパレル会社に勤め、2004年に自身のブランド「Rigged Out/fitters(リグド・アウトフィッターズ)」を設立。アメリカのレズビアン・ヒットドラマ「The L word」でも使用され、現在クィア・シーンで最も注目を浴びている洋服ブランド。

――パリサのインスピレーション源は何?

私がインスパイアを受けるのは、アーティストだったり、ミュージシャンだったり、エッジィな人たちが活躍するクィア・シーンなの。

――仕事の仕方・方針は?

私は洋服をデザインするだけじゃなくて、アートディレクターも兼務してるの。フォトグラファーもモデルも全部私が選んで、スタイリストも行なうわ。

――フォトグラファーやモデルはみんなレズビアンなの?

そう。モデルは事務所所属の子ではなくて、私が出会った子たちで、友達だったりもする。だから、皆本物のレズビアン。自分でスタイリングして、フォトシュートにも始終立ち会って、全てのプロセスに関わっているの。だからこそリアルかつ、信憑性がある写真なんだと思う。実際レズビアン・コミュニティからの反響もものすごいのよ。毎日たくさんのレズビアンから、「リグドのモデルになりたい」って連絡がくる。笑えるのは「で、何人のモデルと寝たのよ?!」って良く聞かれること(笑)。

――あら! じゃぁ、何人?(笑)

ゼロ! 唯一寝たことがあるモデルはリグドを始める2年前に付き合ってた人なの。

――どのぐらい前にこのウェブを始めたの?

2年前。

――2年の割にはかなり繁栄しているじゃない。

でもすごい大変だった。私は自分のビジネスの全過程に携わっているのに加えて、さらにもう一つビジネスを経営しているの。ファッション業界のためのテキスタイルとパターンデザインの会社なんだけどね。でも最近、「リグド」を成功させるためにはそれだけに専念しなきゃいけないって分かったの。ウェブからデザイン、写真撮影まで全て担当しなきゃいけないから、時間が足りないのよ。メディアからかなり注目を浴びたから、ものすごく早く繁栄したように見えるかもしれないけど、実際は私が考えている進行よりは遅いの。

――今年2006年3月にダイナーショア・ウィークエンドで会ったけれど、来年も行く予定は?
(※ダイナー・ショアは、米・パームスプリングで毎年催される世界最大のレズビアン・パーティ。5日間で10万人ものレズビアンやバイセクシュアル女性が集まることで知られている。)

うん、行きたい。すごく盛り上がってたし。フェスティバルの反響っていつもものすごいのよね。こういうのっていつもあるわけじゃないし、みんなお祭り気分でエキサイトしているから。

――日本人読者のために質問させて。パリサの洋服には、「BOY」の「Y」が「I」になって「BOI」って書かれているんだけど、どういう意味なの?

これは、「男の子に見える女の子」っていう意味。男の子に見えるけど、男の子として生まれてない女の子のこと。男の子として生まれた「BOY」と差をつけて「BOI」っていう表現にしているの。

BOI

――なるほど。その言葉はあなたがつくったの? それとも元々ポピュラーな表現?

言葉自体は私が考えたんじゃないけど、洋服に使うのは私が初めてかも。

――パリサの服によく使われる「クィア&ダーティ」の意味も教えてくれる? このコンセプトは日本ではあまり浸透していないと思うから。

Queern'dirty

「クィア」という言葉は、とくにニューヨーク、サンフランシスコ、ロス、シカゴといったゲイが集まる大都市で使われているの。ここでは、ゲイとかレズビアンというコンセプトは、もはや古いと感じられているから。「クィア」っていう言葉は「ゲイ」よりもっと広い意味を含んでいるとされるの。例えば、外見がボーイッシュな女性がゲイの男性と付き合ったり、バイセクシュアルの女性がストレートの男性や、トランスジェンダー、可愛いBOIと付き合ったりとかね。それもこれもクィアなのよ。

――つまり、「クィア」って、セクシュアリティのことだけを意味しているのではなくて、ジェンダーも含むってことなのね?

そう。もっと幅広い分野をカバーしていて、より現代にふさわしい表現なの。だって、「ゲイ」とか「レズビアン」っていう言葉は、白黒はっきりしているじゃない。今は、その間にいる人が多いから。私自身も、「レズビアン」より「クィア」のほうを多く使ってる。だって、「レズビアン」って言葉からは、一緒に家を購入して猫を飼っているフェミニンな女性二人のイメージが浮かぶんだもの。それって、全然私に当てはまらない(笑)。とにかく、「クィア」は今流行の新しい言葉よ。都市では、みんなその言葉のほうが使いやすいみたい。でも、ダイナーショア・ウィークエンドとかに行くと、まだまだ「レズビアン」が多いわね!

――(笑)でも、アメリカの若い世代は「クィア」って言葉を良く知っているかもしれないけれど、日本ではまだ「レズビアン」の方が浸透しているかも。実際、私はウェブでそっちを使っているし。

うん、分かる。あと、最近の新しい言葉で、「ディープ・レズ」っていうのがあるの(笑)。この言葉はよくジョークで使われるんだけどね! 例えば、誰かのパーティに招かれたとするでしょ。それで、その家の庭でみんなで焚き火して、誰かがギターを引いちゃったりしたら…これはディープ・レズなの!!

――なるほど! 何だかイメージが湧く(笑)。

現在のレズビアン・カルチャーは、70~80年代の急進派といわれる世代の前のレズビアンたちの振る舞いをギャグにしちゃえるくらい浸透している。だから、もし二人の女性が一緒に猫を飼っているのを見かけたら…ディープ・レズなのよ(笑)! 

――(笑)じゃ、次は「ダーティ」。

そうね。私は新作によくこの言葉を使っているの。これは自分で考えたんだけど、他にも使っている人がいるわね。「ダーティ」っていうのは…ずばり、自分がちょっと変態かもしれなかったり、エッチだったりすることを恐れずに認めること。「私はダーティ=エッチで変態です」みたいな! で、そのTシャツを着て堂々と歩いてます、ってね(笑)。私の洋服はユーモアたっぷりだから。他の文化ではどう受け止められるか分からないけど、ここではとてもポピュラーよ。

――これからの予定は?

次の6ヶ月間、プロダクションをアリゾナに移す予定なの。だからその期間はニューヨークとの間を行ったり来たりする。いつも月の半分ぐらいは出張なの。私の運営しているビジネスはインターナショナルだからどこにいようが構わないのよね。

――次のコレクションのトレンドは?

アメリカのアイデンティティ探求から離れて、もっとグローバルにしようと考えてる。私自身違う文化出身だし、常に色んなカルチャーからインスピレーションを得ているの。次のラインには、他文化他国の言葉を取り入れようと思っているので、すごくワクワクしてる! 色々と冒険したいの。なんだかアメリカのカルチャーに飽きてきちゃったみたい(笑)。


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