AfterEllen.comの創始者、サラ・ウォーンにインタビュー

By Yuki Keiser 2006.11


アフターエレン/サラ・ウォーン

1. 米最大のレズビアン・ウェブサイト

Profile: サラ・ウォーン
Sarah Warn アメリカ最大のレズビアン・エンターテイメント・ニュースサイト『アフター・エレン』の創始者兼エディター。ワシントン州で育ち、ウエルスレイ大学・学士号、ハーバード大学・神学研究修士号を取得。現在、兄弟サイト『アフター・エルトン』も立ち上げ、『アフター・エレン』はMTV傘下のケーブルチャンネルLOGOに買収される。www.afterellen.com

――ウェブサイト『アフターエレン』はいつ始めたんですか?

2002年4月に始めました。最初の3年間は現在のような広告収入はなく、私自身本業が別にありました。でも4年目に入りそれまでの職を辞めてウェブに専念した結果、広告主が見つかり、今のようなかたちになりました。

――最初、ウェブの運営は一人で行なっていたのですか?

そうです。ウェブは一人きりで始めて、記事もずっと私一人で執筆してたんです。まぁ趣味で書いていたんですけどね。はじめはどうやってほかのライターを集めたらいいかわからなかったんですが、いつの間にか「ライターが必要ですか?」っていうメールが届きだしました。そうやって徐々にライターも増え、3年目あたりから彼女らに報酬を出せるようになったんです。レズビアンサイトを運営することに関して良いことは、多くのレズビアンたちが親身になってサポートしてくれることですね。 皆、レズビアンサイトが立ち上がるのを嬉しく思っていますから。

――サイトを立ち上げた一番の動機は何ですか?

まず、周りには自分が求めているサイトがなかったからです。当時、レズビアンに関しての情報サイトはなかったんですね。さらに、私はエンターテイメント・フリークだから、そういったテーマに関して書く口実が欲しかったんですよ!

――(笑)。あなたのバックグラウンドは?

旅行会社のウェブサイトで働いていました。オンライン・マーケティングに8年間関わったというのが、私のバックグラウンドと言えます。さっきも言ったように、当初『アフター・エレン』は単なる趣味だったんですが、気が付いたらインターネット最大のレズビアン・ウェブサイトになっていたんです。だから、「本業を辞めて、これをビジネスとしてトライしてみよう」と思ったんです。

――ほかのゲイやレズビアン・ウェブサイトと比べて、あなたのサイトの特徴は何だと思いますか?

まず、エンターテイメントのみにフォーカスを当ててるところですね。そして、レズビアンまたはバイセクシュアルとしてカミングアウトしている女性のみを取り上げています。レズビアンの役を演じている女優の場合以外は、ストレートの女性はカバーしていません。例外は一つあるのですが、最近新しいデイリー・ポップ・カルチャーのブログです。そこではレズビアンでないテーマを取り上げていますが、それはメインサイトではなく、一部分のみです。また、バイセクシュアル女性を歓迎しているところもほかのサイトと違うと思います。実際、彼女たちのカテゴリーを設けています。

――その理由は何ですか? 初めからそうしていたんですか? それとも需要があると気づいて、追加したんですか。

サイト開設当初からです。私の何人かの元カノや親友たちがバイセクシュアルだからです。彼女たちが大好きだから、仲間に入れ、それをはっきりと示したかったんです!

――なるほど! アメリカのレズビアン・コミュニティでは、バイセクシュアルはどの様に見られていますか? 受け入れられていますか?

世代にもよりますね。若い子たちのほうが彼女たちを受け入れる傾向があると感じますが、地域にもよります。当サイトの読者層の25%ほどはバイセクシュアル女性じゃないかしら。人数的には少なくないのですが、コミュニティの中では、まだ疎外感を感じている場合が多いのではないかと思います。

――先ほどの話に戻りますが、自分のことをエンターテイメント・フリークと言いましたね。レズビアン・カルチャーのどこが一番好きですか? 

そうですね。まず…これはレズビアンに限りませんが、単純にテレビが大好きですね(笑)。それと、レズビアンのヴィジビリティにおいて、メディアでのイメージはとても重要だと思います。ポップ・カルチャーの中で、自分たちを反映するイメージのキャラクターやストーリーがなければ、どう感じます? 自分のストーリーは扱われる価値がないと思いますよね。だから私は、メディア上のレズビアンやバイセクシュアルのイメージをできるだけ取り上げるようにしているんです。

――あなたのウエブサイトはレズビアンの何を変えたと思いますか? 『アフター・アフターエレン』(“アフター・エレン後”)があると思いますか?

良い質問ですね! どうでしょう…。多分、それまで孤立していた人達はコミュニティとの繋がりを感じられるようになったんじゃないでしょうか。通常、レズビアンのエンターテイメントに関してクォリティの良い情報を得るのは難しく、口コミになってしまいがちです。

だからこそ、私は読者に正確な情報をいち早く提供するようにしています。大多数のレズビアンやバイセクシュアルはLAやニューヨークといった大都市には住んではいません。そういった女性からよく「サイトを通して何か大きなことに参加しているような気持ちになれた」という内容のメールをもらいます。彼女たちはこのサイトの存在によって、自分達の住む地域のコミュニティよりももっと大きなコミュニティに繋がっていると感じるのだと思います。

――ところで、ご両親はあなたのウェブサイトのことを知っていますか? カミングアウトしていますよね?

はい、知っています。親にはかなり前にカミングアウトしていて、彼らもウェブに関して受け入れています。完全に協力的になるには若干時間がかかりましたが、最近は全く問題ありません。たとえば、「パワーアップ」のイベントに応援に来てくれましたし(笑)。(※2006年、サラは『パワーアップ』というハリウッドのレズビアン映画制作会社より賞を受賞。毎年、「エンターテイメント業界の素晴らしいゲイ女性」10人をノミネートしている。授賞式は11月に行われ、昨年サラは親とともに出席した。)それに、母は私のコラムの校正をしてくれます(笑)。

――それは最高ですね! 日本でレズビアンとしてカミングアウトした政治家、尾辻かな子さんのお母さまのことを思い出させられます。彼女のお母さまは新聞に手紙を書いたんです。その内容は、自分の娘がレズビアンということをずっと受け入れられなかったんですが、ある理由で1週間ほど娘とそのパートナーの家に滞在することになったというもの。そこで目にしたのはほかの異性愛のカップルとは何にも違いのない、普通のカップルだったとか。それ以降は偏見もなくし、彼女の性指向を受け入れ活動も100%サポートしているらしいです。とても感動的な手紙でした。

まぁ、良い話ですね! アメリカでは、最近親も段々受け入れるようになりましたね。それでも、30代でまだ親にカミングアウトできていない友達が周りにいますけど。

――話は変わりますが、これまでうまくいかなかったインタビューはありますか?(笑)

(笑)。うまくいかなかったインタビューですか…。良い思い出と言ったら…『Lの世界』の女優、エリン・ダニエルズは素敵でしたね! 彼女はストレートですが、レズビアンの役を演じていました。あとほかには、イヤリー・リモン。ドラマ『バフィー』で、ケネディというレズビアンの役を演じています。じつは、彼女は私たちのインタビューの中でカミングアウトしたんですよ! 2005年にインタビューをした時、イヤリー彼女を同伴してたんです。彼女にはこれまで二度インタビューしてるんですけど、初めのインタビュー時にはストレートだったんです。でも二回目にはバイセクシュアルだとカミングアウトしたんです。その時は「あら! あなたがレズビアンだったなんて知らなかったわ!」みたいな感じでしたよ。私は『バフィー』の大ファンだから色んな意味で感動しました!

――素晴らしいですね! …あと悪い思い出は(笑)?

(笑)。そうですよね、悪い思い出…ああ、そうそう、誰かは言えませんが、いました!インタビューをしているとたまに、レズビアン・コミュニティに対しての不満を私たちにぶつけてくる人もいるんですよ。『アフター・エレン』がコミュニティ全体を代表しているかのように見えるらしくてね。レズビアン・コミュニティに見捨てられた気になっているらしく、それに悪口を言おうとするんですよ。だから、私たちに文句を言うんです。それはそれで別に良いんですが(笑)、私たちの責任でもないのでね(笑)。


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