『ハニー&ハニー』の著者 竹内佐千子さん

By Yuki Keiser 2007.03


竹内佐千子

1. 恋愛は、みんな大変!

Profile: 竹内 佐千子
東京都出身 11月15日生まれ B型 第3回『ダ・ヴィンチ』コミックエッセイプチ大賞受賞。メディアファクトリーの「コミックエッセイ劇場」(www.comic-essay.com/)で作品が連載され、現在『ハニー&ハニー』、『ハニー&ハニー デラックス』好評発売中。 sachinock.gooside.com/


★番外編インタビューは、こちら

――ではまず、マンガを出版された経緯についてお聞きしてもよろしいですか?

竹内(以下、T):
はい。私はもともとマンガを描くのがとても好きで、このことを何かに活かせないかってずっと思っていたんですよ。で、たまたま『ダ・ヴィンチ』(メディアファクトリー)を読んでいたら、「コミックエッセイプチ大賞」というのが目に入ってきたんです。私エッセイなら描けるかなぁって。それでテーマの中に「恋愛」があったので、まぁちょっと…人にはない、特殊な恋愛だったので(笑)。「これならイケる」と思って応募したら、賞に入ったんです。その後ネットで連載させていただいて、最終的に出版という形になりました。

――応募時「レズビアン」というテーマのせいでNGになるかもしれないという懸念はありませんでしたか?

T:
逆に、このテーマだからきっとイケるだろうと思ってました。だから自信満々で送りましたね(笑)。

――頼もしいですね(笑)。どうして「イケる」と思ったんですか?

T:
レズビアンものの書籍とかって、シリアス過ぎたり、性に重点を置いたものがとっても多かったので、もっとフランクな感じに読みたい人はきっと多いハズ! と思ってましたね。

――今日は竹内さんの編集担当者の方にも来ていただいているのでお聞きしたいのですが、
出版社側としては、ためらいなどはありませんでしたか?

編集者(以下、H):
『ハニー&ハニー』って絵もすごくシンプルでかわいいし、いろんな要素が詰まってたんです。恋愛の形態がただ「女同士」っていうだけであって、二人でキャイキャイ言ってるかわいい様子が描かれていてたし。あとテーマも斬新な分、それがとても新鮮に感じられて、こっちとしても「もらった!」みたいな感じだったんですよね。

T:
そうそう。私もこれで蹴られたら、「損したぜ、オマエ!」みたいな(笑)。
それくらいの気持ちでしたね(笑)。

――(笑) 確かに私も、初めて知った時にすごくびっくりしました。ここまで自分たちをリアルに描いたマンガってあまり見たことがなかったので。

T:
すごく嬉しいですね(笑)。

――読者の反応はどうでしたか?

H:
本の帯にも「恋愛は、みんな大変」って入ってるんですけど、女の子同士の恋愛ももちろん大変だけど、じつはなんだかんだ恋愛はみんな大変なんですよね。楽しかったり悲しかったりするのって誰でも一緒なんだよねっていうところに共感してもらえたみたいです。

竹内佐千子

T:
感想をいただける大半は女性です。でもノンケとビアン半々くらいですねぇ。ビアン読者の方から「この本を読んでたら勇気が出てきて、親にカミングアウトしました!」っていうメールを何通かもらったんです。そんなの読んだらものすごく感激しちゃって。「えぇー! そうなんだ! もっと聞かせて!!」みたいな感じですね(笑)。

H:
あと、ゲイの読者も多いね。

T:
ゲイの人もいます。あと、ノンケの男性もいます。たまにですけどね。

――アメリカのレズビアン・ドラマの『The L word』※のクリエイターもそのようなこと言っていました。ストレートの女性の支持も得ていると。(※LAを舞台にした、登場人物がほぼすべてレズビアンという前代未聞のアメリカン・ドラマ。現在日本ではFOX LIFEで放映中(ソニー・ピクチャーズエンタテインメントジャパン配給)。詳しい内容については雑誌『marie claire』06年7月号にも掲載されています。)

T:
そうですね。女の子からの「本当に女性の気持ちをわかってもらえて嬉しい」みたいな感想が多いです。「彼氏がわかってくれない気持ちを、ビアン同士だとわかってもらえるのは羨ましい」っていうのも多いですね(笑)。

――とくに人気があったテーマなどありますか?

H:
「片づけられない女たち」は異様に反応がよかったですね(笑)。とくに恋愛がテーマの話じゃなかったので、正直そこまでウケると思わなかったんですけど。大半の女性が「私も『片づけられない女』です!」とか(笑)。「逆に彼氏がマメで、わたしが全然片づけられないのでよく怒られます」とか。なんかそういうところでも共感する人がいるんだぁって思いました。

片付けられない女たち

――逆にネガティブな反応はありましたか?

T:
こういう本を出すにあたっては、「理解できない!」とか「そんなのは不毛だ!」みたいな反応も一応は覚悟してたんですけど…。そんなのは一通もなくて、むしろみんな喜んでましたね。

H:
「待ってました!」とか、「よくぞここまで赤裸々に!」みたいな(笑)。

――『婦人公論』(※06年7月22日)の記事も読ませていただきました。掲載の経緯を教えてもらえますか?

T:
『婦人公論』さんのほうが書店で私の本を見て、「性をテーマにした『セックスは何か』について特集があるので取材させてください」と、連絡をくださったんです。「男女という枠に囚われない多様な恋について、竹内さんの経験を踏まえてお話しください」と。それでインタビューを受けました。

――本の話しに戻りますが、このエッセイを描く時、気を付けたことはありましたか?

T:
あの…。私レズビアンなので、男性とお付き合いしたことがないんですね。なので、何が変わっていて、何が男女の恋愛と違うのかがさっぱりわからないんです。だから…どこが違っておもしろいのかとか、いろいろ人に聞いたりして、それを探るようにはつねに気をつけていました。じつは、『婦人公論』さんのインタビューで気が付いたこともありました。編集者の方に「記念日とかって二人で祝うんですか?」って聞かれて、「欠かさずっ!」って答えたら編集者さんは「男女ってそういうことあんまりしないですねぇ」っておっしゃったんですよ。で、今度は私のほうが「ええー! そうなんですかぁ」って(笑)

――逆に「レズビアンは、ストレートにこういうところが誤解されているな」って感じたことはありますか?

T:
「男性を怖いと感じる人がレズビアンだ」って思っている人が意外に多くて。だから男の人との夜の生活の話をされるのは嫌なのかなぁとか思われていたり。私も別に興味がないわけでもないですし、男性が嫌いなわけでも怖いわけでもないんですよね。たぶんレズビアンの人の大半はそういう人じゃないかと思うんですよ。…うーん、誤解は多いですよね(笑)。


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