『Lの世界』クリエーター、アイリーン・チェイケン

By Yuki Keiser 2006.03


Lの世界/アイリーン・チェイケン

1. 原点は、私がLAで経験したこと

Profile: アイリーン・チェイケン
LAのレズビアンの日常を描いた米ケーブルTVショータイムのヒットテレビシリーズ、『Lの世界(邦題)』『the L word(原題)』(2006年GLAADメディア賞で最優秀ドラマシリーズ賞を受賞)の産みの親ともいえるディレクター兼プロデューサー。現在LAで11歳になる双子の娘たちと暮らしている。

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LAが舞台の、登場人物のほとんどがレズビアンという前代未聞のアメリカンドラマ、『Lの世界(原題:the L word)』。現在、FOXライフHDにて日本初放送中、2008年の2月には多くの日本人ファン待望のDVDも出るという。

レズビアンが主人公のドラマを世界中で成功させたクリエーターってどんな人? 彼女もレズビアン? ストーリーのインスピレーション源は? そんな質問をクリエーターのアイリーン・チェイケンに直接聞いてみた。ドラマの作製に至った意外な理由ときっかけや彼女のこれまでの体験談、アメリカでの視聴者層、昨今のレズビアン・ベビーブームなど盛りだくさんな内容のインタビューをお届けする。


――はじめに、レズビアンを主人公にしたテレビドラマを作ってくださりありがとうございました! 『Lの世界』は世界中で話題となり、私たちのヴィジビリティを高めてくれましたね。

まあ、本当!? そう言われるとうれしい! 日本ではどんな風に放送されているのかわからないけれど。今はどのシーズンが放映されているのかしら。

Lの世界
(c)2004 SHOWTIME NETWORKS INC. All Rights Reserved

――今日本で始まったのはシーズン1。放映されているのがケーブルテレビ局だから、熱いファンは多くいるものの、まだ一般的にはあまり知られてないの。日本のレズビアンの中でも知らない人が多いくらいなんです。

それは変えていかなくちゃね!

――日本のレズビアンはまだ見えない存在ですので、あなたのドラマがもっと広く知れ渡って、偏見などを取り払ってくれればいいと思います。話を『Lの世界』に戻します。何度も聞かれている質問だと思いますが、番組はどんな風に作られたのですか?

(笑)ええ、よく聞かれます! ショータイムにアイディアを発表したのは1999年だったかしら。軽い気持ちで話してみたの。自分では良いアイディアだと思っていたけれど、当時はビジネスとして成功するのは無理だと諦めていたわね。半分冗談で、「ゴールデンのレズビアンドラマをやるのってどう思う?」って聞いてみたの。やっぱりみんな笑いながら、「そんなことできるわけない」って言ってたわ。でもその一年後くらいから状況が一変した。2000年頃からゲイ男性向けのテレビ番組が出始めたの。そのうちの一つがイギリスで放映された『クィア・アズ・フォルク』というドラマ。その後ショータイムがアメリカ版を作って大成功を収めた。だから私はもう一度トライしてみることにしたの。そしたら、今度はすぐ気に入ってもらえた。「何て素晴らしいアイディア! もちろんレズビアンのドラマはやるべき」だって!(笑)(※『クィア・アズ・フォルク』は20代のゲイ男性の友情と愛情をリアルに描いたイギリスのドラマ。)

――(笑)それが2000年だったのですか?

そう、打ち合わせや制作などに二年ほどかかったんです。結局見本用パイロットを撮影したのが2002年でした。

――今でこそ大成功を納めた『Lの世界』ですが、初めの頃は、レズビアンのドラマをテレビで放送するリスクについて懸念しましたか?

私のほうにはリスクはありませんでした。でもショータイムには、経済面でのリスクはあったと思います。デモや抗議がある可能性もありましたし。でもショータイムはそもそも有料ケーブルテレビなので、メインの放送テレビ局とは違う方針、ビジネスのやり方なんです。

――私はエレンがテレビでカミングアウトした時のことを思い出しました。その時はデモや抗議がありましたよね。(※エレン・デジェネレス…米国ルイジアナ州出身のコメディアン・女優。出演ドラマ『Ellen』(1994-1998)にて自身がレズビアンであることをカミングアウトしたが、抗議により番組を中止される。2007年にアカデミー・アワード・ショーのホストに抜擢され、米国で最も人気があるレズビアンの一人である。現在、『アリー・マイ・ラブ』の女優ポルシャ・デ・ロッシと付き合っている。)

ええ。エレンは、広告主によって支えられている放送局ABCの番組でカミングアウトしましたからね。ショータイムは広告を頼りにしていないからそういう心配はないです。むしろ、アメリカのマイノリティな人たち向けの番組を放映して人気を得ているんですよ。

――『Lの世界』のストーリーはとてもリアルなディテールが含まれている感じがします。レズビアンコミュニティの特徴などがよく描かれていますよね。ストーリーのアイディアはどこからきているのですか? 実話からのインスピレーションやご自身の経験から?

私がLAで経験したことをストーリーの原点としました。もちろんそのままではないですよ。登場人物もストーリーもフィクションですけれど、私の身近にあるコミュニティやライフスタイルの中で起きたことを元にしています。

――たとえばどのストーリーですか?

ストーリーの多くが実体験を元にしていますが、とくにシーズン1の最初のエピソードかな。レズビアン・カップルが妊娠するために精子のドナーを探しているの。そのストーリーは私自身の経験を反映したものです。長い間私はパートナーとドナーを捜していました。その時は愉快なエピソードがいくつもありましたが、その一部からインスパイアされて出来上がりました(笑)。

――なるほど! 精子バンクには行かなかったんですか?

最終的にはそうしたわ。

●放送…FOXライフ HD www.foxlife.jp
シーズン1 毎週木曜日 21:00 他

●DVD発売…20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン www.foxjapan.com
<レンタル> Vol.1-2 DVDレンタル中
2月16日  Vol.3-5 レンタル開始
3月 7日  Vol.6-7 レンタル開始
シーズン2 Vol.1 レンタル開始
<セルDVD>
◆vol.1 ¥999(税込) 発売中 
◆シーズン1DVDコレクターズBOX  ¥10,290(税込・6枚組)3月7日発売
(C)2008 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc. All Rights Reserved. Distributed by Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC.

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【『Lの世界』ファミリーからのビデオメッセージ 】
『Lの世界』のキャストやスタッフからTW読者へビデオメッセージ
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【『Lの世界』の舞台になったLA・ウエストハリウッド】
『Lの世界』の舞台になったLA・ウエストハリウッドのフォトレポート。ドラマにも登場のショップ、フレッド・シーガルや、フリーシティなどを紹介
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【09年GLAADメディア・アワード レポート】
非営利LGBT団体、GLAADが2009年4月にLAで開催した「メディア・アワード」のレポート