AfterEllen.comの創始者、サラ・ウォーンにインタビュー

By Yuki Keiser 2006.11


アフター・エレン/サラ・ウォーン

2. この10年で最も大きな節目

Profile: サラ・ウォーン
Sarah Warn アメリカ最大のレズビアン・エンターテイメント・ニュースサイト『アフター・エレン』の創始者兼エディター。ワシントン州で育ち、ウエルスレイ大学・学士号、ハーバード大学・神学研究修士号を取得。現在、兄弟サイト『アフター・エルトン』も立ち上げ、『アフター・エレン』はMTV傘下のケーブルチャンネルLOGOに買収される。www.afterellen.com

――アメリカの状況に関して。エレン・デジェネレス※がカミングアウトするまでは、本当に誰もアウトしていなかったんですか? (※米コメディアン・女優。出演ドラマ『Ellen』(1994-1998)にて自身がレズビアンであることをカミングアウトしたが、抗議により番組を中止される。2007年にアカデミー・アワード・ショーのホストに抜擢され、米国で最も人気があるレズビアンの一人である。現在、『アリー・マイ・ラブ』の女優ポルシャ・デ・ロッシと付き合っている。)

何人かいましたが、少なかったです。米ドラマ『Married with Children』の女優アマンダ・ビースとか、歌手のメリッサ・エスリッジ(※ドキュメンタリー映画『不都合な真実』のサウンドトラックで2007年アカデミー賞歌曲賞受賞)や、KDラング、エレンがカミングアウトしてからは、多くの人がアウトしてきて、本当に効果をもたらしました。でも、ほかにも色んな事が影響していたと思うわ。

――ほかの事って?

絶対聞くと思った(笑)。全部思い出せないけど(笑)。まぁ、とにかく政治情勢、様々なアクティヴィズム、裏で活躍してる人のお陰で少しずつカミングアウトしやすい環境になったの。

――『Lの世界』はもう一つの節目だと思うんですが。アメリカの場合、エレンと『The L word』がレズビアンにとって一番重要な節目だと言えますか?

この10年で大きな節目を二つ選べと言われたら、私は多分その二つを選ぶでしょう。でも、ほかにも色々な小さな節目もあったのよ。たとえば、ドラマ『LA Law』でのテレビ史上初のレズビアン・キスとかね。今でこそ小さいことに見えるけど、当時はインパクトがあったわ。あと、映画『バウンド』も画期的だったわね。

――この10年でレズビアンに対してアメリカの世論は変わりましたか?

ある意味変わった。もちろん、5年前よりゲイとレズビアンへの偏見は明らかに少なくなったわね。ただ、現在アメリカは内戦真っ最中だから、それがまたなかなか難しいのよ(※共和党がゲイ反対、民主党がゲイに寛容といった国内対立)。要は、「二歩進んで一歩下がる」って状態。それに、テレビと映画では、レズビアンは5年前よりヴィジビリティが下がっている。

――下がってる!? てっきり高くなっている様に思ったのですが!

これは私の意見だけど、大部分は現在の政治情勢のせいね。5年前にレズビアンが登場するドラマがいくつかあったのに比べ、現在は『The L word』一つだけよね。だから奇妙な状況よ。

――『Lの世界』のお陰で、レズビアンのヴィジビリティは高まったと良くききますが。

そうであって、そうでないのよ。確かにケーブルで『Lの世界』が放送されてるけど、その反面メインストリームのテレビではレズビアンの人物が全くいないの。ただ、最近メディアではレズビアンが以前より適切に描かれてるのも事実。だから、総合的に考えてヴィジビリティが良くなったかというと、微妙。とりあえず色んな出来事が起こってるけど、保守的な風潮もその一つと言えるからね。

――ストレートの方はレズビアンに関してどういったイメージを抱いてると思いますか?

うーん、わからないわ…。

――それを聞くのも、レズビアンのフィールドで仕事をすればするほど、ストレートがレズビアンに対して持ってるイメージが良く分からなくなるから(笑)。

(笑)言ってることよーくわかる! もはや彼らの立場に立って考えられないということよね! 良くわからないけど多分、『The L word』で見る様な新しいタイプのレズビアンと、今までの古いステレオタイプの矛盾をどう対処すればいいのか戸惑ってるんじゃないかしら。

――ストレートの間でも『Lの世界』はポピュラーなんですか?

アメリカでは結構みんな知ってるわ。とくにストレートの女性のオーディエンスも多く、また、ストレートの男性も観てる。

――ストレートはレズビアンのカルチャーが存在することを知っていますか?

ほとんどの人が知ってるんじゃないかしら。多分ステレオタイプ的に想像しているんでしょうけど、とりあえず存在については把握してると思う。

――日本ではまだみんな知らないと思うんですよ。大半の人は、同性愛は「ベッドの中での出来事」、「性の趣味」としてしか捉えていないんですよ。

(笑)ああでも、実際ここでもそうかも! アメリカでもそれだけで終わらせている人はいるわね、結構。もちろん人にもよるけど。

――「レズビアン」というテーマってビジネスになると思いますか? たとえば、2006年春夏D&Gの広告キャンペーンで女性が絡み合ってたので。

そうね、レズビアンのテーマは売れると思うわ。まだ珍しいからちょっと衝撃的なところがある、みたいな。逆に言えば未だに標準じゃないのよね。通常のコマーシャルや広告にみんな死ぬほどうんざりしてるから…。とにかくちょっとでも新しかったりほかと違ったりすると何でも興味を引くのよね、多分。

――俳優や女優がカミングアウトするのはとても難しいと良くきくけど、どう思いますか? キャリアの面で実際にリスクがあると思いますか? 

両方だと思うわね。人によっては本当にリスクがあったり、逆に被害妄想だったりするんじゃないかしら。


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