『Lの世界』クリエーター、アイリーン・チェイケン

By Yuki Keiser 2006.03


Ilene_2.jpg

2. 家庭を築きたいという気持ちは自然

Profile: アイリーン・チェイケン
LAのレズビアンの日常を描いた米ケーブルTVショータイムのヒットテレビシリーズ、『Lの世界(邦題)』『the L word(原題)』(2006年GLAADメディア賞で最優秀ドラマシリーズ賞を受賞)の産みの親ともいえるディレクター兼プロデューサー。現在LAで11歳になる双子の娘たちと暮らしている。


――ジェイミー・バビット(『Lの世界』や、映画『Go! Go! チァーズ』『Itty Bitty Titty Committee』の監督)がLAでベビーブームが起きていると教えてくれました。本当ですか?

本当だと思います! じつは、そのことが『Lの世界』を作るインスピレーションになったの。ある雑誌のためにゲイとレズビアンのベビーブームについての記事を執筆したのですが、その記事を書いた後、「このことについて私はテレビドラマを作るべきだ」と閃いたんです。テレビドラマをやると決めた時、たんにゲイのベビーブームにだけテーマを絞った番組ではなく、もっと幅広いテーマを扱えるレズビアン番組がやりたいと思ったんです。

――なぜレズビアンの間にベビーブームが起きたと思いますか?

きっと自然な流れなんじゃないかしら。私は、LGBTとストレートはそんなに変わらないと思っているの。人生でしたいことや、価値観、ゴールや夢などは一緒でしょ? レズビアン・ゲイの中でも家庭を築きたいという気持ちを持つ人はとても多いから、同性愛者用に精子バンクができたことは自然な成り行きなんじゃないかな。

――日本の視聴者は、とくにベットとティナのストーリーに注目すると思います。日本ではレズビアンが「精子を探す」ということはほとんどありませんから。その一つの理由としてあげられるのが、日本産婦人科協会が、そのガイドラインの中で「精子を与えるのは不妊に悩む異性同士の既婚カップル」と限定しているからです。ですから子どもが欲しいレズビアンは最終的には男性と結婚しないと難しいのです。アメリカではドナーを探すことは一般的ですか? またそれは精子を友達から提供してもらうか、精子バンクに行くか、どちらが多いですか?

最近、アメリカではレズビアン同士が子どもを産むのはそんなに珍しいことではありません(※たとえば、チェイニー米副大統領自身の娘がレズビアンであることを公表しており、人工授精で子どもを授かり、無事産んだ)。私はあらゆる方法で妊娠した人を知っています。だから、「これがレズビアンの妊娠の仕方」とは一言では言えません。

――そうなんですね。日本のレズビアンにとっては、母が二人いる家庭の前例がないので、そういうことはまだまだ難しいと思います。そうした新しい考え方は倫理的にまだ受け入れられていないようです。アメリカでは一般的に受け入れられているのですか?

どこに住むかによりますね。ご存知だと思いますが、今アメリカの政治はとても保守的に退行しています。今の政府やその支持者は私たちを以前よりもっとクローゼットの奥深くに押し込もうとしています。でもそれはできません。だって私たちは戦い続けて、もう後戻りできないほど進んでしまったのですから。


[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ]

kanrenkiji.jpg
【クリスタナ・ローケンの近状についてのインタビュー】
『Lの世界』でペイジ役を演じた女優、クリスタナ・ローケンに気になる新しい女性の恋人との近状などについて語ってもらった
line.gif
【ダイナ2009フォトレポート】
09年4月にパームスプリングスで開催された世界最大のレズビアンイベント、ダイナショアのフォトレポート
line.gif
【エレクトロ・ポップデュオ、Uh Huh Herインタビュー】
『Lの世界』アリス役レイシャ・ヘイリーの話題の新バンド、Uh Huh HerのLAでのライブのフォトレポート