竹内佐千子さん インタビュー 【番外編】

ハニー&ハニー x Tokyo Wrestling 2007.03


竹内佐千子

1. アリ? FTM編

~好きになったら関係ない!~


Profile: 竹内 佐千子
東京都出身 11月15日生まれ B型 第3回『ダ・ヴィンチ』コミックエッセイプチ大賞受賞。メディアファクトリーの「コミックエッセイ劇場」(www.comic-essay.com/)で作品が連載され、現在『ハニー&ハニー』、『ハニー&ハニー デラックス』好評発売中。 sachinock.gooside.com/


前回お届けしたインタビューの後、竹内さんと編集者の方、Tokyo Wrestling編集チーム2名の4人で、フランクなトークを交わした。話は、お互いの好みのタイプやセクシュアリティについてなどプライベートな話題に及び、「どこからどこまでがレズビアン? 私はバイだったの!? ゲイでもあり!?」など、FtMやレズビアンなどについてここでしか読めないクィアで濃厚なプライベート・トークを、今回はインタビュー番外編としてお届け。


竹内(以下、T):
ところで、カイザーさんはFTMの方との恋愛はアリですか?

カイザー(以下、K):
うーん…。一応元から男性、「純男」の男性の人よりはアリだけど、基本的にはやっぱりボーイッシュなレズビアンがタイプ。で、まぁ向こうがどう思うかはわかりませんが、私はFTMも好きになったらアリかもしれないなぁ。でも多分長続きはしないと思います。今まで付き合った女性はみんなレズビアンですしね。

編集者(以下、H):
他のビアンの人ってどうなんですかね。

K:
好みは色々ですよね。うちの編集の金井さんはガーリッシュ系の子が好きだから(笑)。

H:
じゃあ、人によって全然違うんですね。

K:
でも、レズビアンでボーイッシュが好きなネコの人はFTMもアリな人が多いと良く聞きますよね。

T:
それを聞いて、なんかすごい安心しました(笑)。あの私…。あ、言っていいかな…。
あの、今お付き合いしている人はFTMの方なんですね。

K:
じつはそう思ってました(笑)。漫画読んでて。

H:
においでわかります?

K:
そう(笑)。

T:
それでずーっと悩んでるんです。いままで、女性の方としかお付き合いしたことがなかったので。向こうから告白されて、でも私はぶっちゃけ女として見てないけど、男としても見てなかったんですね。私も好きだったんですけど、たぶんFTMの人は男性として見られないと嫌なんだろうし。あの…「男としても女としても見てない」とか「むしろ女として見ている」みたいに言ったら、なんか…失礼だし。で、渋ってウジウジしてたら、「好きならそれでいいじゃん」って言われて、お付き合いが始まったんです。でも…やっぱ女だったらなあ・・・て思うこともあって…(笑)。

H:
よく愚痴ってます(笑)。

K:
私はFTMの人とはお付き合いしたことがないのでわからないんですけれど、二丁目のバーやイベントとかに行くとやっぱりよく見かけますし、見ると「かっこいいな!」って反応はしますよ。一度、オナベバーに行ったことがあるんですけど、そこはスタッフ皆FTMで、背も高くて、胸も取ってましたね。すごくかっこよかったですよ。

T:
そうなんですよねぇ。

K:
私は、やっぱり男性よりはアリですね。FTM当事者の方の中には、もしかしたら不本意だと感じる方がいるかもしれませんが、私個人としては、男性とも女性とも見てなくて、FTMとして見てる。

T:
そうなんですよ!

K:
で、私ボーイッシュがすごい好きだから、外見的にはタイプなんです(笑)。

T:
わかりますー。よかった(笑)!

K:
ホルモン注射などで肉体的に男性に近くなっていたり、性自認も男性寄りだったりしても、女性として育てられた「経験」っていうのはあるので、やっぱり女性のことを純男よりもよくわかっていると思うんですよ。あと、生理のときの辛さとかもね(笑)。だから、お付き合いしたことはないんですが、すごい優しかったり、マメなところがあるのかなって勝手に想像しています。

T:
そうですよねぇ。私も全く同じ意見です(笑)。

H:
私は実際に竹内さんの彼氏ともお会いしたことがあるんですよ。でも私は、会った時から男の子っていう風にしか見えなくて…。あの人はすごく男らしい部類に入ると思うんですよ。だから、今まで女の子としか付き合ったことのない竹内さんは、そのギャップでよく怒ってます(笑)。「連絡が来ない!」とか。

T:
なんか…やっぱり男の人なんだなって思うことが多くて。こう…嫌いになるとかでは全くないんですけど…ついていけなくて(笑)。女だったら楽だったのに、とか思いますねぇ。

H:
3人で一緒に二丁目のバーに飲みに行ったことがあるんですよ。最初は、彼氏さんは竹内さんの隣にいたんですけど、だんだん竹内さんの愚痴がはじまって。そのあと彼氏が席を移動して、結局私が真ん中に(笑)。

K:
ノンケでは、たまにFTMはOKって人いますよね。

T:
あ、いますねー。

K:
私は、いままで経験ないですけど、たぶん今後もないと思うけれど、惹かれる気持ちはすごく分かる。

T:
そう、それで自分は一体レズビアンなのかバイなのか、わかんなくなっちゃって(笑)。

K:
FTMにとってレズビアンと付き合うことがどれくらいイレギュラーなのかわかりませんが、レズビアンの、特にネコでボーイッシュが好きな人にとっては、けっこうFTMと付き合っている人っていうのはよく見るので、わりと普通だと思いますよ。

T:
よかった! すごくよかった(笑)。 
でも、やっぱり漫画でそういうことを描くと、「FTMの人と付き合ってるのに、自分のことをレズビアンって言っているのはおかしいんじゃないか!?」って言う人はけっこういるんじゃないかと思って、ビクビクしちゃって。「FTMと付き合ってるけど、自分はレズビアンとして生きてます」っていう人からの感想もよくもらうんですけど、一方で「FTMと付き合ってるけど、自分はノンケだと思う」という人とか。いろんな意見がありますね。

K:
セクシュアリティ自体、どこからどこまでがビアンでとか、きっちりカテゴライズする必要もないものかもしれませんが、そうですね…まぁ私が個人的に思うのは、それまでノンケで、FTMと付き合った人はノンケなんじゃないかな。その人の男性的なところに惹かれたのであれば。で、今までレズビアンだった人がFTMと付き合ったら、引き続きレズビアンと言ってもいいんじゃないんですかね? もちろん、人にもよりますけど。私の場合、FTMと付き合っても、相手がどう思うかはわかりませんが、「レズビアン・カップル」とは言えなくても、私個人のセクシュアリティはレズビアンだと言えると思いますね。なぜなら、さっきも言ったように、女心のわかるボーイッシュとして惹かれる部分があるからです。で、もちろん、相手のFTMの方が男性として、女性の私のことを好きになってくれたら、相手の方のセクシュアリティはヘテロと言えますしね。

まぁ、ひとくちにFTMと言っても、本当にいろいろな人がいるので、その人によりますよね。社会的にも肉体的にも完全に、いわゆる男性であることを求めていて、二丁目などのゲイカルチャーには一切接触しない人もいれば、ウーマン・オンリーのレズビアン・バーやイベントにも積極的に通う人もいますし、わりと自分のことを男でも女でもない中性的な存在として受け止めている人もいますしね。なので、「FTMと付き合っているからレズビアンじゃない」、とは一概には言えないんじゃないかと思います。それは、お互いが感じるんじゃないんですかね。
…でもまぁ、好きになってしまえば、セクシュアリティのカテゴライズなんて関係ないように思いますよ(笑)。

H:
本当にそうですよね。

T:
私、自分でもそう思うんですね(笑)。ただ、そう思わない人もいるんだろうなぁって思うと、う~ん…なんか、描けなかったりしますね。

K:
男性でも女性でもなく、FTMでいいじゃんってたまに思いますね。「第三の性」ってよく言いますしね。

T:
私もそう思います。

K:
でもまぁ、そういう風に思わない人もいっぱいいますけどね。
いろんな考え方があって良いものなんだと思います。

T:
FTMの人って繊細な人が多いような気がします。なので、その辺はやっぱり描くときに気を配りますね。

H:
うん。いつも気をつけてますよね。

K:
やっぱりその辺には触れないように。

H:
誰か不快に思う人がいる可能性があるのなら、描かないほうがいいっていうスタンスですね。

T:
でも、気にしすぎると何にも描けなくなってしまうっていうのもあるし…。

K:
誠意が伝わればいいですよね。

T:
そうですね。

K:
FTMの方に対するすごく真摯な態度がわかりますし、まわりにいるっていうのもよくわかりますしね。マンガに出てくるFTMの方とかすごく魅力的なんだろうなぁって。愛情込めて描いてらっしゃるのがよく伝わりますよ(笑)

T:
よかった。その言葉が聞きたかったですね(笑)。

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