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3. ゲイをテーマにした作品が、韓国で大ヒット
――さきほども話しに出ましたが、クィア映画の中のアジア・シーンっていうのは今どんな感じか教えていただけますか?
iri (以下I):
今、非常に良い感じだと思います。ここ数年の間にどんどんクォリティの高い作品、話題作が増えてきています。昨年のベルリン映画祭テディ賞を受賞したのはAQFFで上映したフィリピンの 『マキシモは花ざかり』 でした。そして今年もたくさんのアジア作品が選ばれ、最終選考にはAQFFで上映した韓国作品 『悔いなき恋-NO REGRET-』 が残りましたし、受賞したのも台湾のレズビアン作品でした。国内では 『僕の恋、彼の秘密』 や 『王の男』 が上映されたり。欧米の作品は山ほどあって、最近若干飽和気味状態なところに、アジアの低予算ながらもクォリティの高い作品が出ると、みんな欲しがりますね。これからもどんどん伸びていくと思いますよ。
『マキシモは花ざかり』
――ということは、アジアン映画は海外でも人気があるんですね。
I:
そうですね。まだまだ数が少ないから、希少価値もあるし、基準も高いです。
――日本のイメージは海外ではどうなんですか?
I:
多分、イメージが付くほどの作品数はないんじゃないんですかね(笑)。最近ちょっと心配なのは、日本作品が少ない中、ボーイズ・ラブ系が徐々に海外のLGBT映画祭で上映され始めてるんですよ。
――そういうイメージが定着してしまうのが心配なんですか?
大石 (以下O):
そうですね。漫画もそうですが、ボーイズラブ系はちょっと極端なものが多いので…。
I:
そういえば、前に韓国に行ったときに、ヤオイの観客さんが多かったんですよ。ヤオイ文化が、日本から韓国などへ浸透しているみたいです。
O:
そうそう。観客の女性はビアンではなくて、ヤオイだったりね。ゲイの作品で、ちょっとイケてる、目がクリっとした男の子がシーンに登場した瞬間に「おー!」って観客から(笑)「待ってましたー」的なね(笑)
――なるほど(笑)。確かに、日本のレズビアンのマンガ全部の呼び名が「百合マンガ」だと海外で思っている人も多いですよね。レズビアン=「百合マンガ」っていう。
他の国の映画祭に行かれて、どの映画祭が一番好きでしたか?
I:
私は韓国ですね。
O:
私は台湾です。
――どういった点が良かったんですか?
O:
まず台湾では、私の作品を気に入ってくれた人が多かったんです。
I:
彼女は台湾ですごくモテてたんですよ(笑)
O:
ちょっとだけです。台湾のアジアン・レズビアン映画祭に参加した時に、ヤウ・チンが企画したワークショップで、私たちと他の監督さんのトークを行ったんです。その中で、「シングルです。募集中です」と冗談で言ったんですけれど、そのせいもあるんだと思います(笑)
I:
私は元々、クィアに限らず韓国映画がとても好きなんです。韓国映画といってもいわゆる韓流ブーム系の作品ではなくて、やはり規模は小さめで、地味で重めの作品が好き。日常の中にこそ現れる人間の本質を描写したような。だから多分、自分の作品も向こうの人に何か通じるものがあって、受け入れられたのかなって思います。
――日本人が海外の映画祭に行きたいと思ったら、どこをオススメしますか?
O:
やっぱり韓国が一番ですかね。
I:
クィアのカルチャー・イベントが全て一緒に、複合イベントみたいな形で開催されているので良いと思います。パレードも同じ時期ですし。でも、大きい映画祭やエンターテイメントが好きなら、サンフランシスコをリコメンドしますが。
――今回の映画祭で、一番動員があったプログラムは何ですか?
O:
『悔いなき恋-NO REGRET-』 ですね。すぐに売り切れました。
『悔いなき恋-NO REGRET-』
――それは何故だと思いますか?
I:
当事者の方々だけでなく、アジア映画を好きな女性がたくさん来たというのも大きいと思います。その市場でも話題を呼んでいましたし。私は監督のイソン・ヒイルの作品がとても好きなんです。彼はセクシュアリティに関係なく、実力で、韓国のインディーズ界で非常に有名な人だったんですよ。その彼が短編を経て、初めて長編作品を作ったんです。私も非常に楽しみにしていて、実際観てみたら本当に感動しました。それで何が何でもAQFFで上映したかったんです。色々な問題が起きて、本当に大変だったんですけれど、しつこく諦めなかったら最終的にはジャパン・プレミアというかたちで上映できることになったんです。この作品は韓国でもとてもヒットしたんですよ。インディーズ資本の長編で、ゲイをテーマにした作品が、韓国で大ヒットしたということで大きな注目を集めたんです。
――レズビアンの映画ではどれでしたか?
I:
『紅門』 ですかね。オープニングでしたし。
O:
ゲストに尾辻さんが来ていたのも一つの理由だと思います。
――個人的に一番好きな作品はどれでした?
O:
ビアン作品では『遊園地』。ゲイ作品では、『ロボット少年』 という作品と、タイの 『真昼のゴースト』。
『ロボット少年』

『真昼のゴースト』
I:
ゲイ作品では 『悔いなき恋-NO REGRET-』 ですね。ビアン作品では私も 『遊園地』 です。「自分の求めていた映画はコレだ!」っていうほど、感動と衝撃を受けました。
『遊園地』
――ところで、お二人はご両親にカミングアウトはしていますか?
I:
一応はしています。最初はやっぱり受け入れられなかったようです。でも、生活していく中ではビアンどうのというよりもやっぱり「親と娘」という関係の方が大事ですから、結局は関係ないんだと思います。ただ、やはり普通に親として「孫を見たい」という願いはあるようなので、それに関しては非常に申し訳ないって思っているんですよ。
――映画祭に関しては何か言っていましたか?
I:
わざわざ「こういう映画祭やってるよ」とかは言わないです。薄々、なにか作品を作っているのは知っているし、そういう作品なんだろうなっていうのはわかってると思うんだけど、あえてあまり話さないですね。
O:
うちも、レズビアンであるということはカミングアウトしてるし、映画を撮ってるっていう話しもしてるんだけれども、今回の映画祭についてはちょっと言えなかったですね。「いつも家にいない」とか言って怒られるんで(笑)仕事もしないでこんなことしてるとかってすごい怒られるので。
――今後、映画祭を開催したいという人がいたら、どんなアドバイスをしますか?
I:
「諦めないでください」ですね。AQFFも何度か開催の危機はありましたけれども、諦めないで動くと必ず結果は出ます。やりたいと思ったら、とりあえず何でもいいから動き始めることが大事だと思います。
O:
私も同じです(笑)
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