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1. 実らない三角形でのハッピーエンド
Taeko Asano Profile
1961年生まれ。脚本家。慶應義塾大学文学部仏文科卒業。同大学院文学研究科修士課程修了。94年に『無言電話』で第7回フジテレビヤングシナリオ大賞にて佳作を受賞後、『ラブジェネレーション』(97)や、『神様、もう少しだけ』(98)、『大奥』(05)など、数々の大ヒット作品の脚本を手がける。現在、『ラスト・フレンズ』が大好評放送中。
最終回が22%以上の視聴率を獲得したドラマ『ラスト・フレンズ』(フジテレビ系)。今回は続編として、ドラマの結末について伺ったインタビューをお届け。インタビュー本編はこちらを参照。
――ドラマの結末について教えていただけますか?
そうですね。まず死ぬのは誰かというと、宗佑なんですよ。タケルかと思うでしょ(笑)。
――そう思っていました(笑)。でも瑠可という説もありましたよね。
そうなんです。最初は瑠可かと思わせていたんです(笑)。宗佑の死に方については、この部分は言ってみれば嘘というか、リサーチの中で知ったんですが、DVの人って「死ぬ、死ぬ」と言いながらも、絶対死なないそうなんですよ。だから、そこは現実とは違うんだけれど、このお話の中での宗佑という存在は、美知留を愛しているんだけれど、うまく愛せないもどかしさを抱えていて。私はやっぱりそれなりにそんな彼の想いを昇天させてあげたいというのがあったんですね。それで自殺なんですよね。結局美知留と別れなければいけなくなるわけなんですが、どうしてもやはり美知留への執着を手放せないというのかな…。
――美知留と瑠可に関してはいかがですか?
ふたりに関しては、美知留が瑠可の想いを知ってしまって、いったん瑠可から離れるんですね。やっぱり、瑠可の想いに応えられないのが辛くて、別れてしまうんです。美知留がひとりでいるときに宗佑から連絡があって、会うことになるんです。宗佑の罠なんだけれど、「別れるために荷物を整理したから」という口実で美知留を呼び寄せるんです。でも、そのときに瑠可がいかに自分のことをずっと想ってくれていたかということを、宗佑との会話で知るんですよ。それで、「やっぱり自分は瑠可のところに戻ろう」と決断するんです。でもそうすると、美知留の気持ちが完全に自分を離れたとわかってしまい、宗佑が逆上するんです。それでその後、美知留を軟禁状態にしてしまうんですけれど、その状態のまま、手首を切って自殺してしまうんです。その後美知留は瑠可のところへも帰れなく、ひとりになってしまって、ドラマの冒頭の状態に至るんですよね。
――子どもは誰の子ですか?
宗佑の子なんです。
――タケルの子かもしれないと思っていました。
タケルとはそうはならないんですね。それで、その続きが最終回なんです。美知留はひとりになってしまった。宗佑は死んでしまった。そしてそのことを知ってしまった瑠可たち。瑠可としては、美知留が瑠可の気持ちを受け入れられないという別れ方をしたので、探しに行くのにためらうのですが、タケルに連れ出されて結局探すことになるんですよ。3人が再会したとき、美知留のお腹はもう大きいんですけれども、3人でその子どもを一緒に育てることになるんです。
『ハッシュ!』(01)という映画のように、3人は恋人か友達か家族かわからないけれど、赤ちゃんとみんなで一緒に暮らす、みたいな。そういう決断するラストなんです。
――浅野さんにとってこのエンディングはハッピーエンドですか?
ハッピーエンドだと思います。3人で終わるから、美知留が瑠可の気持ちをどう受け入れたのかは、わからないですけれど。私の中では美知留は絶対ストレートの女なんですよね。感じ方も、全てが。そこは超えられないんですよ。そういう奴なんですよ(笑)。人間として、大切な人として受け入れていて、瑠可の気持ちも理解している。ただ、そこ止まりっちゃあそこ止まりなんだけれど。でもやっぱり、子どもを通じてというか、そういう存在を間において一緒に暮らしていくことを選択するんですよね。それで、そこにはタケルもいて、「この微妙な三角形のままで行けるとこまで行こうよ」、という結末なんですよね。
――タケルと瑠可の関係も、今後発展せずそのままということですよね。
片方にとってはセクシャルな関係だけれど、片方にとっては違う。でも繋がっているところで繋がるっていう(笑)、微妙なラインなんですよ。幸せなのか辛いのかわからないとこもありますけれど(笑)。
ただ、二人の心と体が一番接近する瞬間を、最終回には用意しておきました。姉に性的虐待を受けていたことをタケルが瑠可に打ち明けて泣き、瑠可に抱きしめられるシーンです。これは、8話にあった、タケルが瑠可を抱きしめるシーンの逆パターンで、タケルが恋心を封印してでも瑠可と向き合おうとするヒロイズムを持っていたように、瑠可のほうでも、厳密には恋心を持てないながら、精一杯タケルに歩み寄ろうとするシーンです。二人の間には、やはり友情という言葉でだけは片付けられないものがある――そのきわどい部分を描きたいと思いました。ところが、その微妙さがどうも俳優陣演出陣に理解されなかったらしく、実際のシーンはとてもあっさりした、男同士の友情みたいなシーンになってしまっていました。樹里ちゃんは心が男である自分が、タケルにそんなに歩み寄ることはできないと思ったようです。タケルと瑠可の関係も、瑠可と美智留の関係も、友情という簡単な言葉では置き換えられない複雑なものなのに、最終回ではそれがうまく描ききれなかった……いまにして思うと一番残念なところです。
――瑠可はその後手術を受けるのでしょうか?
ドラマではそこまで描いていないのですが、私は考えないと思いますね。タケルに悩みを打ち明けてそれを受け入れられたということと、そういった形で美知留と暮らしていけるという結末ですから。さきほど話したように、瑠可は100%性同一性障害というわけではないグレーゾーンな存在なので、周りがそうやって本当の自分を受け入れてくれるとなると、多分そのままの自分でやっていくんじゃないのかなと思いますけどね。実際の当事者の方にはいろいろな方がいるんだとは思いますが。
――エリーも幸せになるのですか?
私はエリーとオグリンをずっとくっつけるつもりで書いていたんですけれど、くっつけないほうがいいかもしれないという意見も出てきて、現在迷い中です。ですので、まだ決まっていません。
――余談ですがオグリンはゲイ男性にも人気があるみたいですよ(笑)。ジャニーズ系の美少年よりも、少しもっさりしている、ドン臭い感じが良いと言うゲイ男性がいました(笑)。
そうなんだ! おもしろい(笑)。ゲイ男性の好みってちょっとわからないんですよね(笑)。
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