アナ・マルガリタ・アルベロ監督のインタビュー

By Vanessa Craig July 2007


不思議の国の女たち

3.私のワガママ全てにYESと言ってくれた

――ところで、今回の作品は、フランスの大手ケーブルチャンネル「カナル・プリュス」(Canal+)のプロデュースで放送されたけど、どのような経緯で採用されたの? 向こうからの依頼だったとか?

ううん。じつはこの映画は、アンダーグラウンドなフィルムメーカーやパフォーマンスアーティストとして長年活動していた私が、本格的な作品に挑戦した結果なの。この映画の予算は10万ドルほど(約1010万円)だったんだけれど、そんなにお金をかけてつくった作品はこれが初めて。チャンネルが協賛を承諾してくれる前に、世界各国10人のレズビアンのフィルムメーカーに、自分の住んでいる都市のドキュメンタリー10分の制作を依頼したの。私はドキュメンタリーを撮ったことがなかったから、色々と考えた結果、今回の作品同様私がレポーターとして撮るアイディアが浮かんだの。

不思議の国の女たち
※2008年のダイナショアにて。TWも参加した、『Lの世界』プライベート・カンファレンスで、ヘレナ役の女優を直撃インタビュー。


――それでそのときダイナショアを撮ったの?

そのときは、ロサンゼルスのレズビアンについてドキュメンタリーを撮ったの。カナル・プリュスはその作品をまず気に入ってくれて、その2年後に「何か企画を提案してみてくれない?」って頼まれた。最初はダイナショア・ウィークエンドじゃなくて、米ミシガン州で行われているレズビアン&バイセクシュアルや、女性の権利主張を掲げた大規模イベント「WOMYN'S FESTIVAL」について提案してみたの。でもそしたら、「違う。私たちが観たいのは、そういう真面目くさいブサイクなレズビアンじゃない」って言われた(笑)。「ダイナショアが良い」ってね。

ダイナショアについて企画を練り始めたときは、リップスティックレズビアン(=フェミニンなレズビアン)の革命についてフォーカスを当てたかったの。それで12ページにも及ぶ企画書をプレゼンしたら、アイディア自体はすごく気に入ってもらったんだけれど、こう言われたの。「このプレゼンで多くのことを学んだけれど、60分ドキュメンタリーを作りたいわけじゃないの。アナがカメラの前に立って、私たち観客を笑わせてくれて、ダイナショアとはいったい何なのか、どんな人が行くのか、何のためにあるのか、そういうことが知りたい。最終的に、誰もがダイナショアに行きたくなるような作品が欲しい」。

――それで自分も作品に出演しているわけなんだね。

そう。それで、プレゼン用に執筆していたシリアスな脚本に、自分のキャラクターも付け加えて、また提出してみたの。冒頭のシーンを彼らに説明したの。「冒頭のスクリーンは真っ暗で、砂漠の中に私が立っている…。で、それは女性を探していることのメタファー」って。それで企画を投げたんだけれど、あまりにもクレイジーなアイディアばかりだったので、私のワガママ全てにYESと言ってくれた感じ。「オープンカーも、衣装代も欲しい。あと、ヘアカットも必要だし、エステもね」って(笑)。

また、撮影スタッフは全員アメリカのレズビアン(サウンドエンジニア以外)を採用することにも同意してもらった。フランスから撮影スタッフを連れて行きたくなかったの。レズビアンに仕事を与えたかったしね。でも、大勢のレズビアンがバカンス気分で思いっきりはじけていて、酔っ払って、寝る相手を探している中、急に私が「フランスのテレビ局からきました。あなたの個人的なことを、詳しく教えて頂けないでしょうか?」って言ったら、どんなリアクションするんだろうって少し不安に感じてた。でもそんな心配は無用で、全く問題なし。最高に興味深い経験だった。

不思議の国の女たち
※砂漠の中でアナ監督が女性を探している、映画の冒頭のシーン。


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