『水の中のつぼみ』セリーヌ・シアマ監督&アデル・ヘネル

By Yuki Keiser March 2008


水の中のつぼみ

3.恋に落ちたとき、生まれるモンスター

(※このインタビューは映画の内容について触れています。まだ観ていない人はご注意ください。)

――日本語のタイトルは『水の中のつぼみ』ですが、フランス語のタイトル「La naissance des pieuvres」は、直訳すると「タコの誕生」ですよね。日本の読者のためにタイトルを説明していただけますか?

私にとって、タコは嫉妬や欲望を意味していて、それらの感情を形にしたもの。つまりタコは恋に落ちたとき、自分のお腹の中に生まれる8つ足のモンスター。みんな自分のタコを持っていると思う。


水の中のつぼみ

※マリー(左; ポリーヌ・アキュアール) と フロリアーヌ(アデル・ヘネル)

――なるほど! 映画によっては、思春期のときに同性に惹かれるストーリーは、その時期が不安定だから、一時的に同性に惹かれるというようなニュアンスが含まれているときがあります。でも、主人公マリーからはそんな感じがしませんでした。それについて、セリーヌさんはいかがお考えですか?

この映画は意図的にその質問に答えていないんですよ。それは答えから逃げているからじゃなくて、その後のストーリーをオープンにしたかったから。たとえば、マリーはレズビアンで、その感情は一時的じゃないと感じる人は、映画のレズビアン的な解釈・レクチャーをしていて、おそらく本人もレズビアンじゃないかと思う。また、マリーの気持ちは一時的な感情、または彼女は完全にストレートと捉える人もいると思う。私は、観客全員をウェルカムする映画を仕上げたかったから、みんなが思ったことを言えるようにつくったの。だからこそ、この作品を観て取り残された想いを抱く人はいないと思う。つまり、このテーマと映画にたいして責任を持ちつつ、あえてこの質問に答えないようにした。でも、まぁ、私自身もマリーについて意見はあるけれど(笑)。

――それは何でしょう(笑)?

マリーの将来はもうお見通しよ(笑)。彼女はその後、女性のために色んな悲しい想いをしつつ、幸せにもなると思う。その女性たちはフロリアーヌより残酷じゃない子ね。でもその半面、もしかしたら彼女ほど美しくないかもしれないけれど(笑)。

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