『水の中のつぼみ』セリーヌ・シアマ監督&アデル・ヘネル

By Yuki Keiser March 2008


水の中のつぼみ

7. 今後マリーは自己肯定すると思う

Profile Adèle Haenel (アデル・ヘネル)
1989年フランス生まれ。映画『クロエの棲む夢』(02)にて11歳のとき主役に抜擢される。2作目となる『水の中のつぼみ』(07)でセザール賞・最優秀有望若手女優賞にノミネートされ、注目を浴びる。


アデル・ヘネル

本作で、魅惑的な少女・フロリアーヌを演じる、いまフランスで最も有望な新人女優、アデル・ヘネル。今回、少し残酷でおませな少女の役を確かな演技で表現したアデルだが、当の本人は主人公同様大人の魅力を発揮した。写真撮影では鋭い表情を見せるものの、まだインタビュー慣れしていないのか、少しはにかみながらも真摯に答えてくれた。そんなビッグになる手前の女優をキャッチ!


(※このインタビューは映画の内容について触れています。まだ観ていない人はご注意ください。)


――まず、アデルさんが演じている人物、フロリアーヌを読者に紹介していただけますか?

フロリアーヌは、人を思い通りに操るしたたかなキャラクターで、一見全てをコントロールしているように見えるんですけれど、実際はそうじゃないと思うんです。自分のイメージに閉じこもっていて、友達のいないすごく孤独な人なんですよ。女の子たちはみんな彼女のことが嫌いだし。また、二面性のあるキャラクターでもあると思うんです。人を吸い込むようなバンパイアのようなキャラクターを持つ半面、マリーとの出会いによって彼女の繊細さや孤独さも浮き彫りになるんです。この映画はそんな彼女のもうひとつの側面も見せてくれます。

――この役を演じるにあたって、どの点が一番難しかったですか?

脚本にある、細かい部分や微妙さの表現ですね。いま話したキャラクターの二面性などとくに、ステレオタイプに陥らないように気をつけました。

――あなたとこのキャラクターに共通点はありますか?

あまりないです。もちろん、自分の思春期に感じたことを思いだしながら演じたけれど、私はもっと内気なティーネイジャーでしたから。

――役作りはどのようにしましたか?

撮影の1ヶ月前からセリーヌと、もうふたりの女優と演技のトレーニングをしていました。シーンの練習をするというよりも、演技への集中やエモーションに対しての準備トレーニングなどですね。そういった練習を通して、キャラクターの一貫したアイデンティティを作り上げていくことに努めました。また、シンクロナイズド・スイミングの訓練もよくしましたね。全部で50時間ぐらいかな。

――アデルさんからみて、フロリアーヌにとってのマリーはどういった存在ですか?

マリーは、多分初めてフロリアーヌの心を動かした人なんじゃないかな。二人は真の友達になれそうなんだけれど、映画の結末は、もしかしたらフロリアーヌ自身の損失を語っているのかもしれません。今後、フロリアーヌはおそらくずっとひとりぼっちだけれど、マリーにとってフロリアーヌはある意味ひとつのステップ、一種の過程じゃないかと。これは個人的な見解なんですが、マリーは最終的に進歩して、自己肯定すると思います。今後色んな女性などと出会い、成長していって羽ばたくと思うんですね。けれど、フロリアーヌはずっと自分のイメージに閉じこめられたまま。マリーと出会って一時期自分の殻を壊したものの、その後またそれに閉じこもってしまう人物として私は捉えているので。

――マリーの気持ちをフロリアーヌは自覚していると思いますか?

完全に気づいてると思います(笑)。でも、どれだけ自分のことを想っているか、その気持ちの強さはわかっていないと思います。

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