青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

By Yuki Keiser November 2007 & August 2008


青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

2. 2ヶ月間で同性婚が認められ無効に

――88年に帰国したんですか?

そうです。国内では函館にある国際交流の財団法人に約13年勤めました。その頃、海外から来た留学生など色々な方と知り合いになりまして、中でもあるアメリカ人のゲイの方と親しくなったんです。そのときに初めて、アメリカでもいまだに同性愛者に対して色々な差別が起きていることを彼の口から聞いて本当に驚きました。というのも、私はオープンなサンフランシスコに住んでいたので、南部であっても同じアメリカで、サンフランシスコとは状況が違うということを認識していませんでした。その時点までは、アメリカといったらどこもサンフランシスコの様にオープンだと信じていました。

――アメリカというと、LAやサンフランシスコ、ニューヨークのイメージが強いので、同性婚ができたり、比較的オープンに思われがちですが、アメリカの南などは本当に違うみたいで、私もそれを聞いたとき初めは驚きました。80年代に限らず、いまでもそれらのエリアでゲイとして生きるのは大変だと取材のなかでもよく聞きます。その方が、成田さんの初めてのゲイの友人ですか?

そうです。それまではゲイの友人はいなかったのですが、その彼は私に色んな話をしてくれました。それでその後、2001年に出身地の青森に戻ってきて今に至ります。2002年にNPO法人で仕事を始めましたが、ある日サンフランシスコでのインターンシップ・プログラムの申込書がオフィスに届いて、強い興味を覚えました。というのは、帰国した時点でアメリカに対してそんなに興味を持たなくなっていたのですが、NPO法人で仕事をするようになってから、非営利的な組織に関してはやっぱりアメリカが進んでいると感じることが多くなっていました。アメリカにちょうどまた注目していたんです。

それで、そのインターンシップの場所がずっと住んでいた馴染みの街サンフランシスコということで、縁を感じたというか、色んな気持ちが甦ったというか。インターンシップを決定して、希望する分野を選ぶときにジャパニーズアメリカンか、LGBTのふたつで迷い、最終的にはLGBTに決定しました。日本でも経験を生かせると考えたからです。それで希望を出し、「Community United Against Violence」(CUAV・クアブ)という団体でインターンシップを行いました。LGBTに対してのヘイトクライムやバイオレンス、コミュニティ内のDVなど、双方の暴力根絶をミッションとして活動している団体です。

――その団体に2004年に研修しに行ったんですね?

ええ。そのプログラムでは2ヶ月研修したのですが、なぜか歴史的な瞬間とぴったり重なる時期でした。ちょうど同性結婚が法的に認められた時期だったんですよ。でも、結局無効にされてしまったので、私が滞在している間にその法が始まって、終わってしまいました。(※2008年、カリフォルニア州で同性婚を禁じる州憲法改正案が可決されたことに関しては、こちら。)

――まさに歴史のド真ん中に行かれたんですね! 当時、周りのLGBTで結婚された方いましたか?

はい。研修先の団体のスタッフが結婚式を挙げました。それに参列したのですが、当事者や周りのLGBTが感激する一方で、結婚式を行う市庁舎の前で保守的なクリスチャンが反対デモを行なったり、聖書を振りかざして「地獄に落ちろ!」と叫んでいました。何年も待ちに待って結婚式をやっとの思いで挙げて幸せに微笑んでいるカップルに対して、そういった憎しみの罵声を挙げている光景は本当に見たことのないようなことで、ショックでした。それを間近で見ていたのですが、やはりこれは誰が見てもおかしいと思うはずなんですよ。

そのとき、一緒にいた私のスーパーバイザーが彼らに向かって、「恥を知りなさい!」と叫びました。目に涙をためていました。そのときほど彼女のことを誇りに思ったことはありません。私が彼女の下で研修を受けていることを心の底から誇りに思った瞬間でした。

――私も何度かLAのゲイプライドに行ったんですが、保守的な団体が道ばたで十字架を持って何か言っていたのには最初驚きました。

そうですね。人の幸せをね、何でそこまで憎むのかわからないですよね。また、インターンをしていた2004年に初めてサンフランシスコのLGBT映画祭「フレームライン」に参加して、とても感動しました。先ほどお話しした、20年以上前に『ハーヴェイ・ミルク』を観たのと同じ映画館で観たんですけれども、2004年の映画祭のときは会場全体がとても明るくて元気いっぱいで、80年代の本当に暗い雰囲気とはすっかり変わっていたんですね。さらに、そこにいたボランティアのスタッフの方がとても楽しそうに働いている姿を見て、「ああ、サンフランシスコの映画祭は素晴らしいな」と感動して、そんな思いを胸に抱いて帰国しました。

青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル
※第3回青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

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