台湾映画監督ゼロ・チョウのインタビュー

By Yuki Keiser July 2008


ゼロ・チョウ

2. 『-Tattoo- 刺青』について

――『-Tattoo- 刺青』は昨年映画祭で上映され、今年の8月23日には六本木の映画館で上映されますよね。日本でも多くのファンを獲得している作品なのですが、映画のインスピレーション源についてまず教えていただけますか?

イザベラ・リョン/Tattoo - 刺青
※『Tattoo - 刺青』で刺青師・竹子演じるイザベラ・リョン(右)とジェイド役のレイニー・ヤン


最初はレイニー・ヤン演じる、ジェイドという役を思いつたところからこのストーリーが始まったんです。ジェイドは、私が実際に知っている二人の女性がモデルになっているんです。

そのひとりは、9/21大地震という、台湾の9月21日に起きた地震のドキュメンタリーを撮りに行ったときに知り合った少女です。その少女は私に、「地震でお母さんが死んじゃったの」と言いました。ところがちゃんと話を聞くと、母親は亡くなってはおらず地震の後に娘を捨てて別のところに行ってしまったというのが真相だったんです。

もうひとりは私の友人です。彼女は大学生でとても勉強ができる人なんですが、学業はちゃんと行いながらも、ネットアイドルの世界に没頭していたんです。つまり、架空のネット世界の中で生きているんです。本人はとても楽しんでいるようでしたが、その裏には淋しさというものも感じられました。

二人ともその淋しさの面が共通していたので、互いの人物像を結びつけて、ひとりの人物、ジェイドを作り上げました。

――ネットアイドルのご友人も、ジェイド同様レズビアンなんですか?

いいえ、バイセクシュアルです。

――レイニー・ヤンはスーパーアイドルですが、同性愛のラブストーリーということで、出演してもらうのに問題ありませんでしたか?

とくに問題はなかったです。じつは本人も、この役を演じたいと言ってくれていたのですが、事務所サイドでなかなか許可がおりなかったんです。それはレズビアン役だからではなく、ギャランティの問題でしたが。台湾の映画産業は不景気なので、アイドルは映画に出演するよりも、テレビドラマに出たほうが沢山ギャラが入ってくると事務所として考えていたようです。

私はレイニー・ヤンはこの役にぴったりだと思っていたので、是非とも出演してもらいたかったです。彼女は台湾のアイドルの中で、一番演技が長けていると思っていますから。

――この映画に関して政府から補助金が出たと伺い、驚きました。台湾の政府は、同性愛のテーマの作品をサポートしているという解釈をしてもよろしいのでしょうか?

台湾政府の補助金の有無を決めるのは政府ではなく、評論組織委員会の中の審査員たちなんです。まず脚本の審査があって、彼らが脚本を評価してくれれば、セクシュアルマイノリティがテーマであろうが、まったく関係の無いことなんです。

イザベラ・リョン/Tattoo - 刺青
© THREE DOTS ENTERTAINMENT


――なるほど。もうひとりの役、イザベラ・リョン演じる竹子は台湾と日本とのハーフの設定で、日本人としてはうれしいことだったのですが、その理由は?

そうですね。おっしゃる通り、父親が日本で仕事をこなしていたとき、日本人の女性と知り合い結婚をして竹子を産んだ、という設定なんです。ですから、竹子は小さい頃に日本で生まれ育って、それから両親とともに台湾に行きます。

父親が日本に渡った理由は、日本は刺青文化が際立って有名なところと認識しているからです。それで、父親は日本に刺青の勉強に来たんです。私も日本の刺青の歴史はとても古く、技術的にもトップだと思っています。おそらく、刺青の博物館があるのは日本だけなんじゃないかな。 

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