青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

By Yuki Keiser November 2007 & August 2008


青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

3. ドキュメンタリーにとくに力を注いで

――2004年に行かれたサンフランシスコの映画祭に触発され、青森の映画祭を始めようと思ったんでしょうか?

映画祭そのものというよりも、そのサンフランシスコで行ったインターンシップが大きいですね。2ヶ月のプログラムが終わり帰国してから、今度は個人的にお願いしてまた半年ほど研修させてもらいました。自分にとって生まれて初めての実践でとても良い経験でしたので、ただ“ああ良かった”で終わらせるのは非常にもったいないと思いました。それで、その経験をまとめて本にしました。LGBTに興味を持つ人も、そうじゃなくてアメリカに興味を持つ人でも簡単に読めるような本に仕上がっています。青森の人間がそういったボランティア活動を行ったことを地元の人にもわかってもらいたかったんです。もちろん、私が研修した組織が素晴らしい組織でしたので、その組織や仕事ぶりを紹介したい、という気持ちもありました。そうしましたら、その本を読んでくれた大阪の大学院生が関心を持ってくれて、その大学に呼んでいただいて、スピーチをしました。それが2005年の12月です。そのときに尾辻かな子さんや、関西クイアフィルムフェスティバルの木村真紀さんが来てくれまして、初めておふたりにお会いしました。当時、木村さんが関西クイアフィルムフェスティバルの実行委員長でしたので、「青森でも映画祭をやってみませんか?」と提案されたのが直接的なきっかけでした。

――東京のLGBTの状況と青森の状況とは違うと思うんですが、青森はどんな感じですか? あまりカミングアウトできる状況ではないとよく聞きますが。

青森ではLGBTは見えない存在だと思います。映画祭を開催すると決めたときに、インターネットで調べて、市内にはゲイバーが3-4軒あるということがわかりました。その中の一軒は日曜日だけはミックスなので、レズビアンの女性も入れるようになっています。そこは、お店の方がとても親切で映画祭のチラシやポスターを置いてもらったり、ご協力いただいているんです。私の知る限りでは、レズビアンの方が行かれるとしたら、そこだけではないかと思います。だからもしかしたら青森ではレズビアンの行く所があまり無いのかもしれませんが、詳しいことはわかりません。

――この映画祭のひとつの特徴は、駅前で開催されていることなんですが、カミングアウトしていないLGBTにとって、行きにくいのではという声が挙がっていますが。

本当におっしゃる通りだと思います。ただ、色々な考え方があって、わたしのイメージではおそらく、私たちの会場は大阪の映画祭の「HEP HALL」と似たような建物なんです。1階から4階までがブティックで、5階にホールがある、という形です。また、6階から8階は市民図書館です。目立つといえば目立つのですが、色々な人がいつも行き来している建物なので、様々な可能性を考えて、逆にそこが一番良いのではないかなと私たちは考えました。遠方からJRや飛行機でいらっしゃる方も多いですしね。

――青森の特徴のひとつはストレートの観客が多いそうですが。

そうですね。ストレートの方が多いんじゃないかと思いますが、実際のところはわかりません。また、年齢層の幅も広いですね。10代から80代までで、第1回は60代、70代の方もわりと多かったです。私が個人的に青森について感じているのは、LGBTの可視化がまったくされていないということです。つまり、LGBTの方は東京や大阪などの都会にいて、青森にはいないと思っている人たちがいます。それで、私はその可視化を進めて、LGBTが出てきやすい雰囲気を作れたらいいなと思っています。いまはまだ、「映画祭に行けば自分のセクシャリティが周囲に知られてしまうので行けない」という声も聞きますので。

青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル
※今年の青森の映画祭のフライヤー&プログラム


――青森の映画祭にはドキュメンタリーも多く上映されているのも印象的ですが。

可視化のためには、まずは事実を知ってもらうことが第一と考えますので、ドキュメンタリーに力を注いでいます。ドキュメンタリーを通して、世界で何が実際に起こっているのかということをまず知ってもらわないと、という気がしています。そういった理由で、これまでドキュメンタリーで活動系の作品に力を入れてきました。観客の方々のバックグラウンドを伺いますと、LGBT活動家ではなくても、環境問題、平和運動など、様々な活動を行っている方が多いようです。

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