青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

By Yuki Keiser November 2007 & August 2008


青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

4. 映画祭に“プラス1”を入れていけたら
青森インターナショナルLGBTフィルムフェスティバル

――ところで、成田さんの性的指向について伺ってもよろしいですか?

はい。私はストレートだと思っています。ただ、これも2004年にインターンシップを行ったときに思ったことなのですが、100%ストレートではないのだろうなと現在思っています。私は青森で生まれ育ちました。もしサンフランシスコで生まれ育っていたなら、自分の中の数パーセントのレズビアン要素も表に出てきていたのではないかと感じています。性的指向は生まれつきだと思います。でも、それがどの程度表面に現れてくるかというのは、生まれ育った環境によって随分違うんじゃないかなと感じています。私の場合は、サンフランシスコのようなオープンで情報が多い街で育っていたら、レズビアンの要素のほうも随分出たかなぁと思ったんです。どちらかはっきり言い切る必要がないと思いますが、ただひとつだけ言えるとしたら、私はいままで男性としかお付き合いしたことがないということだけです。

――成田さんから見て、青森映画祭の特徴は何でしょう?

いらしてくれた方のコメントからすると、「通好みの活動系映画祭」という位置づけだそうです。やはりドキュメンタリーが多いのが印象的なのではないでしょうか。それで、2007年に「GAPIMNY」という、ニューヨークでアジア系ゲイの支援活動を行っている団体の活動紹介ビデオを上映しました。これも青森で活動している人たちから大変良い反響を得ましたので、上映して良かったと思いますね。そういった意味で比較的活動系の作品が多いかなとは思っています。また、観客には高齢の方も非常に多いんです。まだその理由がはっきりとつかめていないのですが。ですので、10代から80代といった幅広い年齢層、また様々な性的指向ですね。ストレートの方がこれだけいらっしゃるLGBT映画祭というのも珍しいと言われます。

また、わたしたちの映画祭では、映画の上映の前に、必ず他団体の方のご挨拶やスピーチなどがあります。非常に申し訳ないのですが、いまのところご招待する資金がありません。全国から自費で観に来て下さっているLGBT支援団体の方に、活動紹介をお願いできないかと提案してみましたら、みなさん快く承諾してくださいました。それで、各映画上映の前にそのような方々をご紹介し、ステージでスピーチを行っていただいています。これまで、札幌のパレードのご紹介をしていただいたり、仙台の東北HIVコミュニケーションズの活動紹介もしていただきました。青森県以外のところから来て下さった方のスピーチは、なかなか聞く機会がないですから大変好評です。今年は思いがけず上映作品の監督が東京からいらしてくれました。監督をステージでご紹介できたのは初めてのことで、観客のみなさんも大変喜んでくれました。私たちスタッフにとりましても、それはもううれしい驚きでした。

――また、東京や関西の映画祭などは数日間行われているのですが、青森の特徴は、一日のみということもありますよね?

そうですね。通常やはり動員数が心配ですが、うちの場合は1日通し券のみの販売で、2千円で全ての作品が鑑賞できます。こんなお得な映画祭は他にないと思うのですが(笑)、青森は映画を観る人口がそもそも少ないというのもあります。これは青森だけなのか、地方の傾向なのかはわかりませんが、とにかく私は映画好きで一年中土日は必ず映画館に足を運びます。そうするとね、映画館にはいつも人があまりいないんです。そういった背景があるので、1日のみにいまのところ限定しています。人が来てくれて赤字にならないのであれば、2日でも開催したいところなんですが。

――いまのところの反響は?

まだ3回しか開催していないので、試行錯誤をしながらやっています。定着するにはもう少し時間がかかるのかなと思います。2回目のとき、1回目と2回目を比較しながら反省会を行いました。そのときに他のスタッフに、「まだ2回だから、2回で判断するのはやめましょう」と言われて、確かにそうだなと思いました(笑)。それで、とりあえず5回までは、みんなでやりたいようにやってみて、それ以降に分析することにしました。希望としては、年に1度7月に映画祭を開催し、さらに特別上映会なども、違う日に年にもう1回ぐらいできたらと思っています。また、映画を観た後にみんなでディスカッションをするというのも良いかなと。そういった形で、今後少しずつ何か“プラス1”を入れていけたら良いなと思っています。そうすることによって、青森の映画祭の意味もまた大きくなっていくんじゃないかと思います。とにかく青森で「LGBT」という言葉をもっともっと浸透させて、それで他でも何かを行ったり、違う方が他のことを始めたりしたら、私たちとしては本当にうれしいです。みんなで刺激しあっていけたら素晴らしいです。

――そうですね! 青森では、映画祭のフライヤーなどは、どういった場所に置かれているんですか?

会場周辺の喫茶店やバーなど、また、文化会館や市民ホールなど、市の施設にも置いてもらうようにしています。今年は、県内、県外の大学の先生方、学生の方々にも大変お世話になりました。特にジェンダーを専門とする先生方は率先してポスター掲示、ちらし配布に協力してくれました。本当に有り難いことです。また、私にとって青森は生まれ育った土地ですので、近所には幼稚園から一緒だったような友人がいるわけです。そういう人たちも非常に協力的なんです。最初は、とりあえず私に頼まれたからポスターを貼ってます、という感じだったんですけれども、そのうち観に来てくれて、「ああこういうものなのか」という風に映画祭のこともわかってくれて。そのように、自分が生まれ育った土地ならではの利点を生かして皆さんの協力を得ながら、やっていければ良いなと思っています。

――それでは、なおさらこの映画祭を続ける使命がありますね!

そうですね! 本当にそう思います。やりたいことはたくさんあるのですが、それを少しずつ行なっていければいいなぁと思うんですね。東京でいま人気があるものをいきなり青森で行おうとしても、それもまた難しいと思いますので、その土地に合った、ひとりでも多くの観客が参加しやすいようなイベントをつくりたいです。

また、せっかくアメリカで研修を受けたのですから、そこで築いたネットワークを無駄にせずに今後も広げていきたいと思っています。2006年の11月に、「National Gay and Lesbian Task Force」という、アメリカのLGBT支援組織主催の全米会議 Creating Change に初めて行きました。5日間に及ぶ会議なんですけれども、LGBT支援活動家が2千人から3千人ほど参加する大規模なイベントです。それを1回だけの参加で終わらせたくなくて、今年の2月にも同じ会議に参加するためにデトロイトに行ってきました。今回も2千人以上のLGBT支援活動家が参加していて、大変勉強になりました。まぁ、全米の大規模な会議に青森の私が行って、あまりにも浮き過ぎたりするのではないかと思われそうですが(笑)、じつはそこに来ている人の中には、青森よりももっと小さい地域などで活動している人たちもいるんですよね。ですので、お互いに触発されますし、やる気も出ます。今後も出来る限り参加しようと思います。

ヨーロッパにも行きたいですね。あと、アジアなど、結局世界中ですが(笑)。まぁ、徐々に色んな地域や国に行って、LGBT活動家の方々と交流するのも目標のひとつです。

――今後も青森での活動を応援しています!

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