本邦初公開! ダニエラ・シー ロングインタビュー

by Yuki Keiser April 2008


ダニエラ・シー

7. ママ・パパとパパの彼氏

――ジェイミー・バビット監督の最新映画『Itty Bitty Titty Committee』(以下『IBTC』)にも出演しているよね。その経緯をきかせてくれる?

いま『Lの世界』でプロデューサーを務めているアンジェラ・ロビンソンが、プロデューサーになる前に監督としてドラマに関わっていたとき、彼女の紹介でレズビアン映画製作会社パワーアップのイベントに行ったの。そこでジェイミーと知り合って。それで興味持ってくれて後日オーディションを受けることになった。

『Itty Bitty Titty Committee』
※『Lの世界』でも監督を務めるジェイミー・バビットの最新作、『Itty Bitty Titty Committee』


――ダニエラからみて、ジェイミーはどういう監督?

一緒に仕事をするのがとても楽しい監督だね。彼女は“自分の求めるものは必ず手に入れる”っていう人なんだけれど、それがまた楽しいやり方で。撮影現場では笑いが絶えないのと同時に、仕事も素早くこなしている。『IBTC』の撮影現場で、ジェイミーはレズビアンコミュニティにすごく近い人だと感じたんだ。雲の上の存在みたいな監督じゃなくて、本当にいつもみんなで映画のシーンを作り上げていく感じがして。そういう形で仕事をするのが一番好きだな。ジェイミーは周りのスタッフみんなを含めて、いつも最高な雰囲気をつくるのが得意だから、彼女と仕事するのは本当に最高。

――みんなそう言うよね。劇中ではストレートのフェミニスト女性、シューリーとのカップリングもホットだったよね。去年東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で『IBTC』が上映されたときも、ふたりのラブシーンは盛り上がっていたよ。

あれは面白かったよね(笑)。ストーリーラインが良かった。

ダニエラ・シー
※米レズビアン雑誌『カーヴ』の表紙を飾った『IBTC』のキャスト&スタッフ。左から、ジェイミー・バビット監督、シューリー演じた女優のカーリー・ポープ、ダニエラ・シー


――『IBTC』ではストレート女性シューリーとカップルだったり、『Lの世界』ではゲイ男性ふたりとカップリングされていたり、最近ではダニエラの演じる役の相手はレズビアンよりもストレート女性やゲイ男性のほうが多いんじゃない(笑)? どうしてだと思う?

『IBTC』での私の役カルヴィンは、ブラッド・ピットみたいな位置づけで(笑)、ストレートの女性も魅了する役所だからね。まぁ、あと実際、ストレートだと思いこんでいた女性が、蓋を開けたらそんなにストレートじゃなかったっていうケースもたくさんあるし(笑)。どうなんだろうね…。


ダニエラ・シー

――『Lの世界』のシーズン3で、ビリーがマックスを見て一目惚れするように、実際にダニエラ自身もゲイ男性にとても人気があるそうだけれど。ゲイ男性によくナンパされるのはなぜだと思う?

そうなんだよね(笑)。ゲイ男性とは良いフィーリングがあるみたいで、いままでずっとそんな感じだった。そもそも私のお父さんもゲイなんだ、じつは。彼のボーイフレンドも当時お母さんと住んでいた家に一緒に住みに来ていて、大家族だったよ。だからゲイ男性とは小さいときから交流がある。

――そうだったのね! 当時、お父さんのボーイフレンドも同居していたって、それってどんな感じだったの!? どう受け止めていた?

ただたんに愛を感じていたから問題なかったよ! 当時子どもだったんだけれど、父とその彼氏とのふたりの間に愛があったから、全然不自然には思えなかったし、普通に捉えていた。

――当時彼らが恋人同士だったことを理解していたの?

私の前でもふたりは愛情表現していたし、自覚していたよ。でも、おかしいことだとは一度も思わなかった。当時はそれが当たり前だと思っていて、もっと歳をとってから他の家族とは違うっていうことに気づいたの。それまではみんな同じだと思っていたから。幼いとそういうのってわからないものだよね。お母さんと、お父さんと、お父さんのボーイフレンドが同居していることが、少し変わっているっていうのがわからないんだよね(笑)。お父さんが朝仕事に出ていって、昼間はお母さんとお父さんの彼氏が私たち子どもの面倒を見てくれていたの。ギターを一緒に弾いてくれたり、ご飯を一緒につくってくれたり、一緒に掃除したり…。

――じゃぁ、お父さんとお母さんはどういった感じの関係だったの? そもそもふたりは恋愛関係だったの?

それがそうなんだ。最初は恋愛で、本当にお互いとても愛し合っていたって聞いているよ。ただ、ある日お父さんがお母さんに“自分はゲイだと思う”っていうことを告白して。そしたらお母さんが“わかった、じゃぁそれを一緒に探検しよう…。ウェストハリウッドに行ってみよう。ゲイクラブに行ってみて、実際どういうものなのか見てみようよ”って(笑)。それで一緒にあるバーに行って、そこでお父さんはサンセバスチャンから来ていたスペイン人のマニュエルと恋に落ちて、そこから始まったの。

――周りはどう思っていた? 彼らの親とかは?

みんな何が起こっているかわかっていたよ。祖父母も自覚していた。最初は少し驚いたかもしれないけど、当時ヒッピーが流行っていたし、とりあえずトライしてみて、そういった形の家族を実現させようよって。当時の彼らの考え方は、お父さんが他の男と恋愛しているからって、私たちが家族になれないことはないって。

色々とあると思うし、フェミニストとしては、お母さんのおかれた立場について少し思うところはあるけれど、でもまぁとにかく、当時彼らは試してみることにしたわけ。だから、この家族環境が、私がゲイ男性に好かれることにたいしてどういった影響を及ぼしているかはわからないけど(笑)、確かに何かあるよね。たまに、私をゲイ男性として見ている感じさえするんだよね。どうなんだろうね…(笑)。


ダニエラ・シー

――ダニエラ自身、ゲイ男性に惹かれたことは?

もちろんあるよ。

――ゲイ男性と付き合える?

付き合う? それは多分ないけど、でも惹かれることは完全にある…(笑)。

――今後、付き合うことはありえると思う?

もちろんありえると思うよ。カルチャー的には、自分はレズビアンとしてアイデンティファイするんだろうけど…。ただ、私の意見としては、誰もがバイセクシュアルである可能性を秘めているっていうことで、社会が定義したジェンダーやセクシュアリティの決まりには、誰も完全にはフィットしないっていうこと。いままで自分が恋に落ちた人はたまたま女性ばかりだったけど、今後異性に恋する可能性はなくはないと思うし、恋したらジェンダーなんて関係ないと思う。多分経験から考えて可能性は低いだろうけれど、起きたとしてもそれはそれで別に問題ないと思う。でも、いままでずっとそうだったように、だいたいは女の子を好きになるんだけどね! 

――男の子と付き合ったことは?

あるよ。16歳で家を出たとき、ボーイフレンドと2年間ほど付き合って同棲していた。

――当時は、何か変だなとか、ちょっと違うなとか思わなかった?

全然。ただ、女の子と付き合い始めたら、“こっちのほうが簡単でしっくりくる!”、もっと“自分らしい”って感じてね。


近日中アップ予定の、【8. ダイクカルチャーのファッションアイコン】に続きます。お楽しみに!


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