新作映画『サガン ―悲しみよ こんにちは―』

By Hisako Kondou


『サガン』

1.小説以上にドラマティックな人生

●『サガン ─悲しみよ こんにちは─』
●監督/ディアーヌ・キュリス
●6月6日(土)、Bunkamuraル・シネマ、シネスイッチ銀座ほか全国公開
●公式サイトwww.sagan-movie.com
●(C)2008 ALEXANDRE FILMS / E. George /C. Schousboe /H. Fanthomme


中性的なルックスとファッションが印象的な、社会模範にとらわれないあらゆる自由を謳歌するフランスの作家フランソワーズ・サガン。男性と2度の結婚と離婚を繰り返しながらも、晩年は女性と一緒に暮らし、バイセクシュアルであったことが知られている彼女。そんな波瀾万丈のサガンの生涯を描いた映画『サガン ―悲しみよ こんにちは―』が6月6日(土)に公開予定。本作は、2004年にサガンが亡くなるまでのあいだ、常に世界中の注目を集め続けたサガンのきらびやかな世界ではなく、素顔のサガンの人生そのものにせまる。表面上のサガンではないプライベートな部分や恋愛、ライフスタイルについて描かれている興味深い作品なのだ。

フランソワーズ・サガン
※サガンの晩年の恋人、ファッション誌『ELLE』の元編集長、ペギー・ロッシュ(左)と。才能豊かで自由奔放な生活を好むふたりが意気投合し惹かれ合ったのはごく自然なこと。


フランソワーズ・サガンは、1954年にわずか18歳にして書き上げた小説『悲しみよ こんにちは』で文壇デビュー。17歳の少女セシルと父親、そしてフィアンセとの危うい関係を描いたこの作品は、瞬く間にベストセラーとなり一躍脚光を浴びた。ジーン・セバーグの主演で映画化もされ、セシルカットなどの流行も生んだ。“サガン”のペンネームは、彼女が敬愛していたフランスの哲学者/文学者で、ゲイとしても知られるマルセル・プルーストの『失われた時を求めて』の登場人物“サガンの姫”に由来している。

マスコミは“天才少女の登場”とセンセーショナルに報道し、栄誉ある批評家賞を受賞。世界中でベストセラーとなり、印税約364億円を稼ぎ出す。男性との2度の結婚と離婚、スポーツカーでの事故、ギャンブルとアルコールへの耽溺、ドラッグと脱税での有罪判決など、スキャンダラスな私生活が常に注目の的に。浪費の末に破産したまま、2004年に69歳で亡くなるまで話題は尽きなかった。

フランソワーズ・サガン
(C)2008 ALEXANDRE FILMS / C. Schousboe


ゴシップ誌を賑わす連日のパーティ三昧など、ときに破天荒な言動で数々の逸話を持つサガンは、派手で華麗な交友関係を繰り広げていた。インテリでバイセクシュアルのサガンならではのクィアな人脈に注目! ゲイとして知られるアメリカの劇作家のテネシー・ウィリアムズやサガンの遊び&旅行仲間として有名なのは、同じくゲイとして知られるアメリカの作家でセレブとの交流が深かったトルーマン・カポーティ。また、ゲイとして知られる“モードの帝王”と呼ばれたファッションデザイナーのイヴ・サンローラン。そして、サガンのサントロペの別荘に出入りした友人たちには、フランスの大女優でレズビアンやバイセクシュアル女性の役を数々演じたことでも有名なカトリーヌ=ドヌーヴなど、ショウビズ世界の人脈も広かった。

さらに、サガンがその才能に心酔したことから交流が始まった友人には、ゲイとして知られるロシア生まれのバレエダンサーのルドルフ・ヌレエフ。また、バイセクシュアルとして知られているアフリカ系アメリカ人女性ジャズ・シンガーのビリー・ホリデイ。ビリーは一時期レズビアンと関係を重ねていたことから、“ミスター・ホリデイ”の異名を取った時期もあった。ビリーの熱烈なファンだったサガンは、初めてアメリカに行ったときにビリーのライブに15日間通い続け、ふたりの関係が噂になったこともある。


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