タレント・一ノ瀬文香さんのインタビュー

By Yuki Keiser


一ノ瀬文香

2.中傷的なメッセージより応援が

――日本では、一部でまだレズビアン=ポルノと捉えがちなのですが、カミングアウトされた際に、そういった色眼鏡で見られるかもしれないという懸念はありましたか?

確かにカミングアウトする前は、私のブログに中傷や性的なことが主に書かれるんだろうなと思っていました。でも予想に反して、少し中傷的なメッセージも届いたものの、まずは応援のメッセージのほうが圧倒的に多かったんです。本当に心温まりました。

――中傷的なメッセージというのは、どういった内容だったんですか?

「日本は閉鎖的な国なので、それは認められるものじゃないよ」、みたいな。

――それについてどう思いましたか?

変えていかなきゃいけないものだと思います。私のカミングアウトで勇気をもらえた人もたくさんいたので、思い切ってして良かったと思いました。

――以前、一ノ瀬さんが「レズ」という言葉が差別用語であるということをブログで説明していたのが印象的だったのですが、一般メディアの取材を受けるとき、何かとくに気をつけていることなどありますか?

まず、カミングアウトするまでの2年間は、原稿チェックはあまりしなかったのですが、それ以降は確認するようになりましたね。差別用語や、間違った知識を伝えないように常に注意するようになりました。また、まず自分の堂々と生きているすがたを表していきたいのですが、それと同時に、客観的なLGBT情報も一緒に伝えていきたいなと思っているんですね。

たとえば、新宿2丁目はこんな所だよとか、セクシュアリティは多種多様だよとか、また、いまの日本は海外と違って、性同一性障害と同性愛の違いがまだあまりわからないので、そういう正しい知識も発信していくよう、気をつけています。

一ノ瀬文香

――芸能界では、カミングアウトしているゲイ男性やMtFの方々はとくに最近多いと思うんですけれど、カミングアウトしているレズビアンはテレビではまだ見ませんよね。その理由についてはどう思いますか。

それはやっぱり日本の社会がまだまだ男性主義で、女性のほうが立場が弱いからなんじゃないですかね。女性は、男性に比べてまだまだ自立しにくい状況ですよね。たとえば芸能のお仕事をしていくにも、まず事務所やマネージャーさんが支えてくれないとできないことですし、テレビ局のスタッフなどの多くも男性ですので、そういった背景が関係しているのだと思います。

――全体的に、日本のレズビアンやセクシュアルマイノリティが置かれている状況についての意見は?

海外と比べて表で攻撃する人はいないけれども、静かに心の中で差別意識を抱いていたり、誤った知識を持っていると思うんですね。当事者も、とくべつ攻撃されていないので反撃する必要もなく、ほとんどはきっと、まず自分が最低限幸せに生きられるように波風立てずに隠れて生活していると思うんです。それで、セクシュアルマイノリティの方もストレートの方も、理解がいつまでもなかなか進まなくて、違う世界のようになっていると思うんですよ。

みんな、正しい知識を共有し合って理解し合っていけば、きっともっと日本人のものの見方も良くなると思うし、みんながもっと幸せになれると思っています。

[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ]