新作映画『それでも恋するバルセロナ』

By Hisako Kondou


『それでも恋するバルセロナ』

2.モダンでインテリジェンス溢れる女性像

もともとウディ・アレン監督は、モダンでインテリジェンス溢れる女性キャラクターを描くことには定評がある。1977年に脚本/監督/出演をこなした『アニー・ホール』 では、アカデミー監督賞、脚本賞、主演女優賞などアカデミー賞以外にも数々の賞を軒並みに獲得した。本作はニューヨークを舞台にしたダイアン・キートン演じるアニーとアレン演じるコメディアンのアルビーのラブ・コメディで、アニーの着ていたマニッシュなファッションも注目を集めた。その影響は70年代後半のファッション界にも及び、数多くの女性がベストの上にオーバーサイズのメンズライクなブレザー、ロングワイドパンツ、そして無造作につけたラルフ・ローレンのネクタイを取り入れ、そのスタイルは「アニー・ホール・ルック」と呼ばれたほど。

ゴージャスなドレスや体の線を強調したものばかりに注目が集まる時代に、自立した女性像をあえてユニセックスなファッションで表現したのは、ダイアン・キートンのアイディアだったようだ。また余談だが、劇中のアニーとアルビーが公園で通りがかりの人を観察しているシーンで、アルビーが「あそこにトルーマン・カポーティのそっくりさんが」と言う場面があるのだが、そのトルーマン・カポーティは実は本人とのこと。ゲイとして知られるアメリカの作家でセレブやショウビズ界との交流が深かったカポーティは、持ち前のユーモアでクレジットなしでカメオ出演を果たした。

『それでも恋するバルセロナ』
(c) 2008 Gravier Productions, Inc. and MediaProduccion, S.L.

また、1979年にアレン監督が脚本/監督/出演をこなした『マンハッタン』ではレズビアンのキャラクターが登場するのも見逃せない。アカデミー脚本賞候補にもなった本作は、いまや大女優となったメリル・ストリープが、アレン演じるTVライターのアイザックの2度目の元妻ジルを演じている。そしてそのジルが離婚後にレズビアンになるというエピソードがあり、アレンのまくし立てるような台詞がストリープ演じるクィアなキャラクターをより一層クールに際立たせている。

また、1995年にアレン監督が脚本/監督をこなした『ブロードウェイと銃弾』には、レズビアン映画『バウンド』(’96)でフェミニンなレズビアンを好演したジェニファー・ティリーも出演。ティリーは、本作でアカデミー助演女優賞候補になるなど、個性派としてだけでなく実力派女優として認められるようになった。

ゲイフレンドリーさが繊細にちりばめられ、ナチュラルなクィアな要素が垣間見られるウディ・アレン監督の作品。そして、その演出からは何よりもフェミニストで独自の個性を持った女性への愛情と尊敬が伝わってくる。いくつになってもイキな女性を愛し描き続けるアレン監督の最近作は、是非映画館でチェックを! TWもリコメンド!!


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