新作映画『サンシャイン・クリーニング』

By Hisako Kondou


サンシャイン・クリーニング


●『サンシャイン・クリーニング』
●監督 クリスティン・ジェフズ
●7月11日(土)より、渋谷シネクイント、TOHOシネマズシャンテ他にて全国ロードショー
www.sunshine-cleaning.jp/
●(C) 2008 Big Beach LLC.

第79回アカデミー賞でアカデミー脚本賞、そして名優アラン・アーキンがアカデミー助演男優賞を受賞した『リトル・ミス・サンシャイン』。それぞれが個々の問題を抱えたワケあり一家が、黄色いミニバスに乗って美少女コンテスト「リトル・ミス・サンシャイン」の会場を目指す道中を描いたロード・ムービーで、スティーヴ・カレルが自然かつ温かい眼差しで描かれたゲイのキャラクターを好演しクィア的にも注目を集めた。そしてそのユニークなファミリー・ドラマ『リトル・ミス・サンシャイン』の製作を手掛けたプロデュサー・チームの待望の最新作『サンシャイン・クリーニング』が、いよいよ7月11日(土)から日本でも公開!

サンシャイン・クリーニング
(C) 2008 Big Beach LLC.

本国アメリカでは今年の3月に公開され、最初はたったの4館で上映する予定のはずがクチコミとネットで拡がり、上映館が600館以上に増えて全米トップ10に入るという快挙を成し遂げた話題作なのだ。

本作は、崖っぷち姉妹が始めた一風変わったビジネスを通じて、家族が新たな希望を見出してゆく様子をユーモラスに描いたヒューマン・ドラマ。姉のローズは高校時代はアイドル的存在のチアリーダーだったが、30代になった現在はシングルマザーでハウスキーパーをしている。妹のノラはいまだにアルバイト生活をしながら実家暮らし。そんなときにローズの息子のオスカーが小学校を退学処分になる。ローズはオスカーを私立の学校に入れるためにはお金が必要だと奮い立ち、殺人現場や自殺現場の掃除をするニッチビジネス「サンシャイン・クリーニング」をノラも巻き込んで始める。はじめは手探りだった仕事も軌道に乗り始め、さまざまな清掃現場での遺族との出会いを機に、2人はトラウマだった母親の死と直面したり、過去や現在と向き合う真摯な姿が浮き彫りになる。

サンシャイン・クリーニング
(C) 2008 Big Beach LLC.

物語の軸となる姉妹のキャストには、前作『リトル・ミス・サンシャイン』同様、実力と個性を兼ね備えた俳優が抜擢された。真面目で家族思いの姉ローズに扮するのはエイミー・アダムス。彼女は、2005年の『エイミー・アダムス in ナイト・ビフォア・ウェディング』でバイセクシュアルの女性を演じ、チャーミングな魅力を振りまいたクィアフレンドリーな女優。

自由奔放で自分がやりたいことを模索中の妹ノラにはエミリー・ブラント。彼女は、『プラダを着た悪魔』(‘08)の編集長ミランダのシニア・アシスタント役で一躍注目を浴びるようになったが、04年の『マイ・サマー・オブ・ラブ』ではレズビアン要素の強い少女を演じ、本国イギリスでイヴニング・スタンダード英国映画賞新人賞を受賞した実力派。この、ひと夏の“ガール・ミーツ・ガール”を繊細に綴った甘酸っぱい青春ドラマは、ブラント演じる大人びた少女が田舎に住むナイーブな少女を翻弄する様子を叙情的に描いている。ブラントのハスキーな声とクールなルックスはクィア度が高く、その女の子同士の熱いキスシーンも評判を呼んだ。また、その後にブラントは、イギリスのエンタメ情報サイト「Londonnet.co.UK.」が発表した、イギリス人レズビアン女性4000人が投票した「好きなハリウッド女優」で8位を獲得するなど当事者たちからも確固たる支持を得ている。

また、人気TVドラマ『24』でジャック・バウアーの同僚クロエ役を演じてブレイクしたメアリー・リン・ライスカブが、クィアな雰囲気漂うシャイなキャラクターのリンを好演している。そのリンはエミリー・ブラント演じるノラと知り合い、次第に仲良くなってパーティなどへも一緒に行き、ノラの付けているネックレスにキスをするという「ネックレス・ゲーム」で挑発したり、まさにクィアムード満点なシーンも見所。心と心の触れ合いや心理描写を巧妙に描いている作品なので、ところどころにちりばめられた繊細なクィア要素は見逃せない。

サンシャイン・クリーニング
(C) 2008 Big Beach LLC.

脚本の完成度とナチュラルなゲイキャラクターが魅力的だった『リトル・ミス・サンシャイン』の知的な製作チームの絶妙な脚本により、ゲイフレンドリーな俳優たちが見事なアンサンブルを繰り広げる本作。前作同様、オリジナリティ溢れるハートフルなメッセージがじわじわと伝わってくる。クィアな映画ではないが、オープンなクリエイティビティとクィアなムードを漂わせながらもどこか懐かしくて、誰もが思わず感情移入してしまう普遍のテーマが胸に響く。そんなやさしさ溢れる爽やかな感動を味わいに、是非映画館に足を運んでみては! TWリコメンド!!

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