前田健さんのインタビュー

By Yuki Keiser


前田健

1.ゲイじゃなかったら書けなかった小説

“あやや”こと松浦亜弥のユーモアと茶目っ気たっぷりのモノマネで一躍注目を浴び、以降人気タレントとして親しまれている前田健。そんな彼は数年前にメディアにカミングアウトし、それまでテレビでは女性口調でゲイキャラを全面的に押し出すオネエ系タレントしか見られなかったなか、彼はまさに目新しい存在で、いわゆる“一般的な”ゲイキャラクターの先駆者となった。

エンターテイナーとしての才能はもちろんのこと、それ以外にもその自然なスタンスでゲイについてメディアでオープン且つナチュラルに語るため、多くのセクシュアル・マイノリティにも愛されているのだ。そのため、今年の5月23日にTokyo Pride Festivalで収録されたNHK教育番組『ハートをつなごう~LGBT弾』にゲストとして招待された際には、多くのクィアたちが歓喜した。

また、今年の3月に初めての小説『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)をリリースし、そのクオリティの高さや、クィア要素を含むストーリーから、セクシュアリティ問わず確かな支持を得ている。

今回はそんなマルチに活躍中の彼に、Tokyo Pride Festivalで行ったビデオインタビュー後(※近日中アップ予定)、後日単独インタビューの承諾をいただき、その処女作や、カミングアウト、お笑い芸人の仲間や兄の反応、好きなゲイ映画、ストレートによく言われる勘違いな質問などについてフランクに語ってもらった。


★インタビューの編集後記は、こちら

★前田健のオフィシャルブログは、こちら↓
http://yaplog.jp/maeken/


前田健

※Tokyo Wrestlingのバッジやステッカーを快く受け取ってくださった前田健さん。

――今年の3月に『それでも花は咲いていく』という小説を執筆されましたが、まず処女作とは思えないほどの完成度の高さと書き物に慣れている感じが印象的でした。ずっと以前から本を書きたいと思っていたんですか?

そうですね。昔から日記や手紙など、書くことそのものが好きでした。中学3年生の頃からオリジナルで脚本を書いたりしていて、物語をゼロからつくるのも楽しんでいました。本当に小説ってゼロからつくる作業なので、それに感動してくれたり感銘を受けてくれたりすると、世界をつくった気さえするくらいの喜びを感じましたね。楽しかったですね、書いていて。

――この短編集では、各章がひとつの恋愛ストーリーで、それぞれに花の名前が付けられています。一般的には風変わりと捉えられているような色々な形の恋愛が描かれているのですが、そういった部分でもセクシュアル・マイノリティに響くところがあると思うんです。この本のインスピレーション源は?

僕がゲイとして生きているこの世の中での違和感をストレートの人たちに疑似体験してもらいたかったんです。ゲイである僕の視野を一瞬でも持ってもらって、それらを経験してみてもらいたいなというのが最初のきっかけだったんです。自分は当たり前だと思っていることを一般の人に話すと驚かれることが多かったので。だからそれをどうやったら自然に、「これもアリかな、これも恋だな」と思ってもらえるかを考えたんです。そういったこともあって、小説も全部一人称で書くようにしました。

――インスピレーション源は前田さんがセクシュアル・マイノリティとしての経験に基づいていると言えるのですね。

そうですね。僕がゲイじゃなかったら書けなかったと思います。

――ゲイの方からの反響はいかがでしたか?

よかったですね。マイノリティを説明したり紹介したりするだけでは、情報を提供するだけの本になるので、「小説として読めたのがよかった」という感想をたくさんいただきました。

――ゲイのテーマを題材にした小説はあまりないので、そういった意味でも貴重ですよね。本のなかで、たとえば「デイジー」の章で“恋愛は自由だ!”や、“恋に間違いも正解もない”、“私の幸せなんて私が決めること”などと、セクシュアル・マイノリティの心にまっすぐ響くようなフレーズがちりばめられています。そういったフレーズは前田さんの意見など、日々感じていることでもありますか?

そうですね。そういうことを登場人物の口を通して言ってみました。

――先ほど、前田さんが「ゲイとして生きているこの世の中での違和感」という表現をしましたが、それはいまも日々感じていることですか? それとも、過去のことでしょうか?

いまもですね。左利きの方がハサミやビデオカメラを、右利き用に作られていると感じているのと同じくらい頻繁に感じています。

――たとえば具体的にどういったときに?

たとえば相性占いですかね。男女でしか占えなくなっているから、星にも認められていないのかなって思うじゃないですか。あとあれですけれど(笑)、安っぽいラブホテルなどに行くと、ガウンがブルー(男用)とピンク(女用)なんですよ(笑)。

――なるほど(笑)。日本のラブホテルって、男性同士だと入れないところがたくさんありますよね? 完全に差別ですよね! それをスイスのゲイの親友に話したら怒っていましたよ(笑)。「同性愛は合法なのに何で男同士じゃラブホに入れないんだ!?」ってね!

そうですね(笑)。


『それでも花は咲いていく』
※『それでも花は咲いていく』(幻冬舎)、1365円(税込み)


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