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3.これからもオネエではないゲイ
――日本のセクシュアル・マイノリティが置かれている状況については、どのように考えていますか?
確かに最近、どのテレビ番組にもひとりくらいセクシュアル・マイノリティの方が出るようになったけれど、それはバラエティ番組の虚像のなかで存在できるようになっただけで、じゃあ自分のオフィスや職場ではどうなんだろうとは思いますね。
進んではいるけれど、実際はどうなんだろうな。僕はオフィスに勤めたことがないので、そこではどれだけ大変かだったり、どれだけコンサバティブなのかが想像つかないので。
――テレビに出ているセクシュアル・マイノリティって、オネエ言葉を使う方が多いなか、前田さんは違いますよね。それはあえてですか?
テレビでしゃべるときは、オネエ言葉を使わないようにしています。まぁ、自然にしゃべってもこういうしゃべり方なんですけれどもね。
というのは、同じ男性が好きな男性でも、「みんながみんなオネエ言葉じゃないですよ」、ということも伝えたい。これからも、オネエではないゲイとして活躍し続けたいなと思いますね。
というか、よくある質問「どっちが女役、男役?」という段階で、ストレートの考え方ですよね。なのでそうじゃなくて、「男性として、男性同士が好きなんですよ」ということもアピールして、そういった存在でいたい。
――同性愛の多様性を見せるためにも、テレビでそういったオネエじゃないゲイの方の存在もとても重要だと思います。そういった意味でも、前田さんは先駆者的な存在ですよね。テレビではオネエじゃないカミングアウトしているゲイ男性がほかにいないなか3年ほど前にカミングアウトしましたが、まだ開拓されていないときにオープンにするのは難しかったですか?
カミングアウトは全然難しくなかったですね。両親や家族、友達、芸人の仲間、事務所に関しても、メディアでカミングアウトするずっと前から全員知っていたんですよ。
――最初、事務所にカミングアウトしたとき、反応はいかがでしたか?
面白がっていましたね。「そういう人、少ないね」って。お笑いの人たちは、“違い”を楽しめる人たちなので、本当に良いところだなと思いました。なので、メディアでカミングアウトしたときは、一般の視聴者が知らなかっただけなんですよ。
それまでは男同士のデートやら、やんちゃ遊びのエピソードといった面白い話を楽屋で他の芸人仲間とたくさんしていたんですね。彼らはそれをラジオでしゃべりたいんだけれど、カミングアウトしていないので言えなくて。だからカミングアウトしてから、ストップがかかっていたところが無くなったということで、芸人たちがとにかく楽になったというか、気を使わせないで済んだという感じですね。
――お笑いは男社会なので、最初芸人さんたちにカミングアウトしたとき、引いたりする方など、とくに問題はなかったですか?
全然なかったですね。逆にとても興味を持ってくれて、色々と聞いてくるんですよ。「ゲイってどうなの?」ってね。それで答えるんですけれど、その空間のなかでゲイは僕ひとりなので、なんか少し特別感を味わえるというか(笑)、「こういうことなんだよ」、って説明しているときって面白いんですよね(笑)。
――和気あいあいな感じが想像つきますね(笑)。いまの話を聞いていると、芸人さんたちが正式なカミングアウトまでちゃんと秘密を守って、気を使いながら前田さんにとても配慮を示したようですね。
そうですね。それはありがたいですね。芸人さんって、デリケートな人たちなんですよ!
――ということは、芸能界に入ってからクローゼットにいた感覚はあまりなかったんですね?
あんまりなかったですね。ただ、会社にまだ言わない方がいいと止められていた時期もあったので、そのときはグラビアアイドルの水着姿に、他の芸人さんと一緒に「おぉー」って前のめりになるようなリアクションはしていましたけれど(笑)。
――(笑)。事務所がOKを出した理由は?
モノマネであれ、お笑いやお芝居であれ、僕がエンターテインメントの才能があるということが世の中に広まってからカミングアウトしてもいいという約束だったんです。僕がゲイであってもゲイでなくても、「関係ないね」と思ってもらえるときに言え、と。腕がある人間だと思ってもらえていない、まだ有名じゃないときに、そればかりが一人歩きしてしまうのは避けたい、と。だから社長がGOサインを出してくれた時期でちょうどよかったなと僕も思いました。
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