前田健さんのインタビュー

By Yuki Keiser


前田健

7.ゲイについて勘違いな言動

――好きなゲイ映画はありますか?

たくさんありますね。たとえば『トーチソング・トリロジー』(’90)とか。前編に流れるあのウェットな暗さがリアルだなと思って好きなんですね。頭に残るというよりも、心に残る感じがしたんですね。あと、『プリシラ』(’94)など、ショーアップされたものも好きですね。

『モーリス』(’87)や『ブロークバック・マウンテン』(‘05)も良かったけれど、ひとつ選べと言われたら、やっぱり『トーチソング・トリロジー』かな。

――行ってみたいと思うクィアシーンは?

大規模のイベントを見てみたいですね。ニューヨークのゲイパレードは、住んでいたときに目のはしっこで見た程度なので。オーストラリアのマルディ・グラ(=ゲイパレード)に行ってみたいな。

――テレビ番組で前田さんに取材レポートしてもらいたいですね(笑)。

うん、取材させてくれないかな(笑)。

――日本のゲイシーンでは、ゲイやレズビアンの交流の場があまりないと思うんですけれど、前田さんは前回レズビアンのお友達がいるとおっしゃっていて。前田さんから見て、レズビアンはどのように見えるんですか?

最近では二丁目でも女の子のカップルをよく見かけるようになって、よかったなぁと思いますね。「日本の男はこうである」や、「女はこうであるもの」といった概念が強い世の中で、男に対してのルールより女のほうが多い気がするんですよ。だから、僕たちゲイより生きづらいだろうなと心配したりします。

――日本の場合、セクシュアリティだけではなくて、性別などの、ジェンダーの固定概念もとくに強いですよね。

そう。それに男は最終的に喧嘩できるけれど、女の人はできないし。だから応援する気持ちでいるけれど、少し心配というか。だって…、たとえば僕が二丁目で女の人に抱きつかれても避けられるけれど、基本的に女の子が男の人に襲われたら、力ではかなわないでしょ?

――でも逆に、私は男性のほうが危ないなって思うんですよ。男同士のほうがケンカになったとき、本当に暴力になりかねないので。女性だったら、よっぽどおかしな人でない限り、公の場では男の人はそんなに女性をボコボコにできないので、逃げ道が少しあるように思えるんです。まあ、だから半々かな(笑)。

半々かな。すごい心配しあってるね(笑)。

――前田さんのブログで、「いつからゲイになっちゃったの?」というような質問に少しムカッとすると書いてありましたが。

そうですね。そういう質問多いですね。あと、「Hのときはどっち役なの?」って。ストレートの人たちに興味本位で、「マエケンはどっちなの」みたいな質問もされるけれどね。外国じゃそんな質問されないでしょ?

――そうですね、あまりしなくなりましたね。ただ、ゲイやビアンだから、男役と女役が必ずあると勘違いしているストレートの人はまだいると思いますが。田舎とか。

そういう、いい加減され飽きた質問とかある?

――私はボーイッシュな女性が好きなので、それをストレートの人に言うと、「じゃあ男でもいいじゃん」って言われることですかね。カッチーンときますね(笑)。どんなにボーイッシュな子でも、脱いだら女なんで(笑)。それを指摘すると、納得してもらえるようですけれど(笑)。

あと、僕がゲイなのは、女を経験したことないからかもしれないから、「経験してみりゃいいんだよ」って男に言われること。「じゃあ、あなたも男を経験して、両方経験してから答え出してよ」って言いますけれど(笑)。

――その通りですよね(笑)。そういえば、私も言われたことあります、そういうの! カミングアウトしたときに、「本当にHがうまい良い男性にまだ巡り会ってないからなんだよ」って友達に言われました。6年間付き合った元彼にも失礼だし(笑)。

女性の場合は、レズビアンになるきっかけもレズビアンでいる理由も、「男性で嫌な思いをしたから女性へ行く」というイメージを抱いている方が多いですよね。

――そうみたいですね。全然そんなことないんですけれどね(笑)。ストレートの女性だったらどんなに男と嫌な思いをしても、最悪は男と付き合わないことを選択するだろうし。それで女に行くなんて、単純な発想ですよね(笑)。


[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ] [ 8 ]