ブー・ジュンフェン監督@シンガポール映画祭!

ブー・ジュンフェン監督


ゲイとしてカミングアウトしているシンガポールの監督、ブー・ジュンフェン。Tokyo WrestlingのINFOでも先日ご紹介したように、9月5日(土)より、日本初Sintok シンガポール映画祭が開催され、その際にトークショーのゲストとして本人もゲスト出演を。今回は、同映画祭にて行われた数々のブー・ジュンフェン監督のQ&Aの一部とTW読者へのスペシャルメッセージをお届け!

ブー・ジュンフェン監督Profile
1983年生まれ。16歳から映画の勉強を始め、ラサール・カレッジ・オブ・ジ・アーツの映画学校を優秀な成績で終了。05年には釜山国際映画祭主催ワークショップで侯孝賢監督の指導を受ける。シンガポール国際映画祭では最優秀短編映画賞、監督賞などを多数受賞。『タンジョン・ルー』が2008年のベルリン国際映画祭パノラマ部門で上映された他、日本では東京国際レズビアン&ゲイ映画祭で数本が上映された。シンガポール映画界の興隆にも意欲的で、監督たちのコラボレーションを促進するために撮られた実験的なオムニバス映画『Luncy 7』に参加。現在エリック・クーの映画会社に籍を置いており、準備中の初長編作品『砂の城』を年内に撮影予定。

ブー・ジュンフェン監督
※ゲイトしてカミングアウトしているシンガポールの監督、ブー・ジュンフェン。Sintok シンガポール映画祭にて。

――今回の映画祭の感想はいかがですか? また、東京の感想は?

いままで、世界の様々な地方の映画祭に行きましたが、今回初めて日本の皆さんと一緒に私の映画を観ることができて、うれしいです。東京は大好きです! みんなとてもフレンドリーで優しいですね。是非また来日する機会があればと思っています!

――ご自身の短編映画にも登場するテーマ、シンガポールでの兵役に対する若者の感覚と同性愛の事情について教えてください。

シンガポールの男性は、18歳になると必ず兵役もしくは、それに準ずる公的な責務を負わなければなりません。これは義務ですし、成人への通過儀礼でもあります。また、シンガポールでの同性愛者についてですが、同性同士のセックスは禁止されており、見つかった場合は罰せられます。それに対して現在、シンガポールのゲイコミュニティーは戦っています。

2007年に、ゲイコミュニティーによる法改正運動があったのですが残念ながら成功せず、法はまだ改正されていない状況です。(短編集の中の1作)『タンジョン・ルー』(08)で描かれている囮捜査は、実際にシンガポールで93年に起こった出来事に基づいています。

――(短編集のなかの1作)『ケルア・バリス』(08)で、主人公が兵役直前に心穏やかでなかった理由は何でしょうか。

この作品は、シンガポールの男子の運命ともいえる2年間の兵役に対する主人公の感情を描いています。その間の運命(どこの部隊で、何をするか)は、自分でコントロールや選択できないのが現状です。また、平行して描きたかったのは、(主人公が)外国で色々な事を経験して帰ってきてから感じる、「自国では自由だと思ったら、逆に自由にならない」という気持ちです。

兵役はシンガポールの全ての男性が通らなければならない道ですから、兵役に行く前にたくさんの話や噂を耳にし、ときには怖い話を聞いてしまうこともあるのです。とても楽しみにしている人もいれば、多くは兵役前日に色々な気持ちが入り混ざり、不安な気持ちでいっぱいになります。兵役は自分の若い青春の日々を国のために提供するので、国に対する自身の気持ちや、国に対する責務など、国に対して考える良い機会になると思っています。

――次の作品はすでに決まっているのでしょうか?
年内に初の長編作品の撮影に取り掛かる予定です。『Sand Castle(砂の城)』という題名の、認知症のおばあさんがいる男の子のストーリーで、エリック・クーがプロデューサーです。

――今年撮影する長編以外で、今後撮影したいなと思うテーマは何かありますか?

そうですね。今回の短編集を観ていただくとそこに反映されているかと思いますが、ひとつは、「セクシュアリティ」に関してです。ふたつ目は、シンガポール社会での「人種と宗教」に関しても取り組みたいです。このテーマに関しては、シンガポールの検閲局はとても敏感ですが、社会の綾を織りなす大きな要素と感じているので、是非探ってみたいテーマなのです。また、今後も(シンガポールが)多言語・多人種であることを、テーマというよりも背景やモチーフとして描いていきたいと思っています。

ブー・ジュンフェン監督


★Tokyo Wrestling読者へのスペシャルメッセージ

TW読者のみなさん、こんにちは。映画監督のブー・ジュンフェンです。映画監督であるとともに、シンガポールで毎年行われている「ショートサーキット」という短編映画の映画祭のプログラマーも務めています。

最近、多くのクイアフィルムと接しているなかで、ゲイやレズビアンの監督が台頭してきていると感じています。

それで今回、シンガポール映画祭のなかでゲイ作品を少しご紹介したいと思います。

まず、ゲイ作品として明らかなのは、私の短編集(『ブー・ジュンフェン短編集』)です。その作品集のなかで、『カトン・フーガ』は自分のセクシュアリティの葛藤を抱える息子と、彼を理解したい母親との関係を描きました。私が初めて撮影した映画である『家族の肖像』では、家族のなかにどういった性的秘密があるかを描いた作品です。そして、『タンジョン・ルー』。この作品は、93年に実際にシンガポールであった囮捜査によって逮捕されたゲイ青年たちの事件を基にした作品です。
 
また、友人でもあるブライアン・ゴソン・タン監督の『愛を探すこどもたち』とロイストン・タン監督の『4:30』にもそういったクィア要素があり、ホモエロティシズムが感じられる興味深い作品かと思います。

今回東京に滞在して感じたのは、多くの日本の方がシンガポールに対して、“きれいで整っている国”というイメージを抱いていることです。そういったイメージの裏には、社会的問題もあります。そして、そのひとつが同性愛の問題。Tokyo Wrestlingをご覧になっているゲイやレズビアンの方にとって、シンガポール映画祭の作品群は興味深い内容だと思いますので、来られる方は是非遊びに来てくださいね。

【ブー・ジュンフェン監督オススメ映画情報】

『ブー・ジュンフェン短編集』↓
9月13日(日)16:00
『愛を探すこどもたち』↓
9月9日(水)17:00、9月12日(土)13:10(Q&Aアリ)、9月13日(日)18:00(Q&Aアリ)
『4:30』↓
9月12日(土)18:00(Q&Aアリ)

シンガポール映画祭

●開催期間:~9月13日(日)
●会場:シネマート六本木
(交通:東京メトロ日比谷線・都営地下鉄大江戸線六本木駅3番・5 番出口より徒歩2分)
●チケット・インフォメーション
・前売券(税込): 1回券/1100円 3回券/3000円(1000円×3枚セット)
・当日券(税込):一般・学生1300円 シニア1000円
★Sintokシンガポール映画祭のHP↓
www.sintok.org/


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