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2. クィアメディアだけに話すこと
――2人の雰囲気が何だか似ていて息もぴったり合っているのがよく伝わるんだけれど、お互いの第一印象は?
M:
すぐにお互いのことを気に入っていた。というか、実は2人は3年間ほど付き合っていたんだ…。でも、基本的にそのことについてはあまり話さないの。
――実はそうじゃないかと思っていた!
M:
話さないといっても、クィアメディアはまた別なの。私たちが載るメディアの多くはストレートのメディア。だから、全然知らないストレートの白人男性には、自分のセクシュアリティやプライベートについて聞かれたくないわけ。
B:
私たちの音楽とは関係ないことだしね。
――でも2人ともカミングアウトはしているんだよね?
M:
ええ。たとえば米ゲイ雑誌『Out』から取材を受けたとき、普通にアウトしていた。でもストレートのプレスにおいては、この話題について話す必要はないと感じているの。私の言っている意味わかるよね?
ストレートのメディアの場合、音楽について話すために取材を受けているわけで、それが私たちの仕事なわけ。セクシュアリティについて語りたいと思わない人っているじゃない? とくにその人がクィアやゲイであることに理解がない人の場合はなおさらね。
B:
音楽をしている女性としてでさえ、フェミニズムやミュージシャン、アーティストの女性について話すことも難しいと思っているのに。
――いままでそういうことを聞いてくる男がいたの?
M:
そう。「2人は以前付き合っていたよね」っていきなり。
B:
あぁ、ニューヨークのビレッジボイスね。確かに聞かれた。
M:
「いま音楽について話しているんだけど!」って感じよね!
B:
この場合に関しては、唐突すぎて話題とはまったく関係なかったの。本当に見せ物のようにされた発言だった。
M:
ある米ブログで私たちのアルバムが取り上げられたとき、楽曲「In Your Lines」が話題にあがったのね。で、そのときに「どうでしょう…。(この曲では)もしかしたらお互いのことを言っているのかも知れない。2人は以前付き合っていたから」って書かれたの。何がカチンときたかっていうと、バンドメンバー同士で付き合うことは珍しいことではないし、バンドがストレートのときはそんなこと話題にならないから。私たちがレズビアンだからそういった興味本位な扱いをされたと感じているの。
B:
しかも、「アルバムの曲は2人の関係を描写している」ってブログは断言したんだけれど、ライターがそんなことを知り得ないし、私たちは一度もそんなことを言っていないのよ。
――なるほど。でも、クィアメディアなら話すのはOKってこと?
M:
全然問題ない。
――それはどうして?
M:
まずクィアについて知識がある人との会話になるから。
B:
それに、話題がそこに集中しないというか、興味本位やセンセーショナルなモチベーションからトピックがあがらないから。
M:
そう、それについてもっと自然な会話ができる。お互い話している言語が同じというか、クィアに対してのフィーリングや見解が同じじゃない? でもたとえばピッチフォーク(Pitchfork)の人と話すとなると…。
B:
そうそう(笑)。
――ピッチフォークって何?
M:
さっき話題に出た、白人インディーズロックばかりを扱っているアメリカのブログの名前。あの人たちとは絶対に自分のセクシュアリティについて話したくないよね(笑)。
B:
さっき言ったように、彼らは私たちのアルバムの情報を掲載したとき、カップルだったことを勝手に書いたの。それって全然関係ない話じゃない? 自分たちはストレートのメディアには公表していないことだから、なんだか必要以上に露出されているというか、見せ物みたいに扱われている妙な気持ちだった。本当に的外れというか論外というか。とくに、そこも他のストレートのバンドについてはそういう話題を一度も取り上げたことのないサイトなのにね。なおさらバカにされている気分。とにかくアメリカのニュース業界は本当に保守的過ぎる!(笑)
――アメリカも色々と大変そうね(笑)。カミングアウトしたとき、レーベルや広報担当などとはどうだった?
M:
とくに問題はなかった。ヨーロッパとアメリカに広報担当がいるんだけれど、その人たちには最初から次のガイドラインを明確に伝えていたの。「一定のインディーズロック雑誌については、セクシュアリティについては一切話したくない」って。さっき言ったみたいに、クィアであることの気持ちがまったくわからない人とは自分のセクシュアリティについて話すつもりないから。
B:
そう、だから分けている。ストレートのメディアとは音楽だけについて話す。クィアなメディアとは、場合によってはもっとプライベートなことについて話すことも、と。
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