|
3.同性婚の代わりに養子縁組を選ぶ理由
――大塚さんは現在彼氏と同棲していて、『二人で生きる技術』でもパートナーとの同棲についてたくさん書かれていますが、現在日本で男性ふたりが同棲するのは難しいことでしょうか。
一言で言うと語弊があるかもしれないけれど、あえて言いますと、僕はやろうと思えばそんなに大変なことではないと思う。同棲したいという気持ちが強ければ、敷居はなんとか乗り越えられるぐらいの高さなんじゃないかなと思っているんですよ。もちろん家族関係や、地方に住んでいるかによってまた色々と条件も違ってくるだろうけれど、都会に出てきちゃったら、基本的にはそんなに難しいことではないと感じている。とくにいま部屋も余っているし、貸す側もそんなに贅沢言っていられない時代だから、持っていき方によってはそこまで難しくはないんじゃないかな。
ただ一番の問題は、多分会社や家族に、男同士で住むことをどう説明するかっていうこと。それが大変なんだろうなと思います。でも、この本で言いたかったのは、ずっと付き合っていこうと思えるような素敵な人が現れたとき、「一緒に暮らすこと」はとても大事な要素だということ。だから、それがもう少し知られていけば、同棲へのの敷居もだんだん下がるんじゃないかな。それがこの本を書いた理由のひとつでもあるんです。
――日本ではまだ同性婚や同棲パートナーシップ制度は可能ではありませんが、ゲイやレズビアンが養子縁組をするとよく聞きます。(※年上のパートナーが、年下のパートナーを養子にすることによって、法的に家族になれるため、代理としてこの制度をゲイやレズビアンが使用していること。)大塚さんの周りに、同性婚の代わりに実際に養子縁組をしているゲイカップルはいますか?
たくさんいますよ。たとえば10年位付き合っているカップルが、「何かがあったらどうしよう」と思うときに、同性婚がまだ可能ではないので、まず養子縁組を選ぶというのは、男同士の場合は割と多いですよ。
――大塚さん自身も、現在6年間付き合っている恋人がいますが、そのうち養子縁組をしたいと思っていますか?
僕自身はいつしてもいいと思っているんですけれど、相手のいることだから。彼の親との関係のこともあるし、僕のパートナーはまだ親に何もかも話しているという状態ではないので、彼のペースに合わせようと思っています。
いまの段階では、僕は自分の親戚に彼のことを紹介してあるから僕に何かが起こっても、彼がいまの家から追い出されることはないだろうし、ちゃんと遺書も書いてあるので、多分大丈夫だろうと思っているんですね。養子縁組については、全然嫌なことではないし、みんなどんどんやればいいのにと思うんですよ。
――養子縁組に賛成でない人たちは、たとえばどういった理由で反対しているのですか?
よく言われるのが完全に平等な関係じゃないこと。親と子の関係になるわけだから、親が死んだときに遺産は子どもにいくけれども、子どもが先に死んじゃったらその流れ方がどうなるかわからない、ってとこかな。それに、同性パートナーシップ法や同性婚がいつか日本でも実現したとき、一度親子関係になったふたりはもう結婚できなくなることが問題視されているんでしょう。
でもね、僕が思うには、日本で同性婚が認められるのには相当時間がかかる。だったら10年先か20年先かの実現を待つよりも、いま現実にある制度を上手く使って自分たちの関係を守るのもいいんじゃないかな。
――私がいままで行った海外の国ではそういった制度がないものですから、日本で養子縁組について初めて聞いたとき、本当に驚いて関心を持ちました。意外とたくさんの人が利用しているんですね。
そもそも、なんで日本の養子縁組制度がこんなに使われるかと言ったら、どちらかが1日でも遅く生まれていたらそれで子どもになれるといった、とても特殊な制度なんですよ。養子縁組の申込書をもらってきたことがあるんですけれど、結婚と同じフォーマットなんですよ。書き方や証人の入る欄などとか。本当に、「養子縁組」という所を「結婚」という言葉に置き換えたら見分けがつかないくらい同じ。だから別にこれもありかなーって思います。
でも一方で、ただそれを潔しとしない気持ちもわかる。だから色んな動きがあって、ふたりの関係を考えている人たちがそれのどれかを選べるというのは良いことなんじゃないのかなと思うし。また、同性婚に関しては、日本の結婚制度の上に乗っかる同性婚というものがどんなものなのかもあまりイメージできないですね。
――それはどうしてですか?
日本の結婚というのは、実は、たとえばセックスしなきゃいけないなど、色んな条件もついてくるんですよ。
――え!? そうなんですか? 結婚したら、一生セックスしなきゃいけないという決まりがあるんですか(笑)!? そのペースはどのように定めているんでしょうね(笑)。
まぁ一生であるかどうかはしらないけど(笑)、結婚の概念にはそういうことまでが含まれているんですよ。だから性交渉がないことを理由に離婚できるわけでしょ。結婚の制度には、本来国家が介入すべきことでないことにも口を挟んでくるあり様なんですよね。だって、今の結婚制度って元々昔の「家」という考え方を少しずつ手直しして何となく近代的な形にしたような気がするから。だからこそ、内容についてもっと議論したりして、そういうこともよく考えないとって思う。
――でも基本的には、同性婚に賛成なんですよね?
ええ。同性婚はゲイリブのゴールだとも思っているから、それに対しては諸手を挙げて賛成なんですよ。ストレートの人たちが得ている権利は平等に私たちも持つべきだと思っているんだけれど、ただそれとは別に、関係をつくることの大変さということから考えていくときに、「同性婚があれば楽だ」という表現をされると、少し違うと思う。だって、結婚制度があるストレートたちだって、いま大変な状態になっているのにって思っているから。そのふたつの考えが僕のなかでいつも戦う感じなんです。
[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ]
|