Monthly Movies ピックアップ(10年1月)

By Hisako Kondou


Monthly Movies ピックアップ

6.フローズン・リバー
フローズン・リバー
※アメリカのインディペンデント映画界で異彩を放っている女性監督、コートニー・ハントの渾身のデビュー作『フローズン・リバー』

最も栄誉あるインディペンデント映画際、サンダンス映画祭で、2008年度のグランプリに見事輝き、審査員長を務めたクエンティン・タランティーノから「今年観たなかで、最高にエキサイティングで息をのむほどすばらしい」と最大級の賛辞を贈られた話題作。

アメリカ・ニューヨーク州とカナダの国境にある凍てついた川を舞台に、多額の報酬と引き換えにして不法入国者を手助けする白人女性・レイラとモホーク族の女性・ライラの過酷な運命を描く。違法な密輸ビジネスにかかわる女性たちの実話をベースに、現代のアメリカが直面する社会問題を浮き彫りにする。家族や子どもを守るために必死に生きるシングルマザーのレイラとライラの姿が胸を打つ。

本作の監督と脚本を務めたコートニー・ハントは、繊細かつ感情豊かなキャラクター描写で、全米公開時に多くの批評家から高い評価を受けた。そして2009年の第81回アカデミー賞では、デビュー作にしてオリジナル脚本賞にノミネートされ、一躍その名を世界中に知らしめた。現在、アメリカのインディペンデント映画界で最も熱い注目を集めている女性監督のひとりと言われている。

鬼気迫るほどの熱演でレイラ役を演じたのは、『21グラム』('03)などの名ベテラン女優のメリッサ・レオ。本作で、第81回アカデミー賞の主演女優賞にノミネートされるという栄誉に輝いた。ライラ役を演じたのは、自身も先住民をルーツとするミスティ・アップハム。複雑な感情描写が要求される難しい役どころを見事に演じきっている。

また、極限状態のなかで信頼を築いていく2人の女性の関係性は、レズビアンに大人気の映画『テルマ&ルイーズ』(’91)のような連帯感も思い起こさせ、そのスリリングな展開に一気に引き込まれる。ラストの究極の決断には圧倒されるだけでなく、深い感動に包まれる。

●『フローズン・リバー』
原題:Frozen River
監督/脚本:コートニー・ハント
出演:メリッサ・レオ、ミスティ・アパーム 他
2008年/アメリカ映画/1時間37分
1月30日(土)よりシネマライズほか、全国順次ロードショー
★オフィシャルサイトはこちら↓
http://www.astaire.co.jp/frozenriver

[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ]