第22回東京国際映画祭・クィア映画ピックアップ

By Hisako Kondou


第22回東京国際映画祭

3.フォードもミッドライフ・クライシスを

現在47歳のトム・フォードは、イシャーウッドの小説『A Single Man』を20代で初めて読み、40代半ばで改めて読み直したという。そして1度目に読んだときよりも、より心の奥まで感銘を受けると同時に精神性の豊かさを実感。ゲイである主人公の教授、ジョージのキャラクターの世代にトム・フォードが近づいたことにより、深く感情移入できるようになったのも自然なこと。

また、本を読んだ直後に作家のクリストファー・イシャーウッドと偶然にも会う機会があり、その後に彼の作品にはまったとのこと。イシャーウッドの書いた作品を全て読んだというトム・フォードだが、直感的に導かれて『A Single Man』の映画製作へとつながったようだ。

そんなトム・フォードが、なぜそこまで『A Single Man』に感情移入できたのかは、自身も主人公のジョージと同じような経験をしたことによる。ファッションブランド・グッチを去ってから、小説の主人公のジョージ同様、トム・フォードもちょっとしたミッドライフ・クライシスを経験。また、(準主役の)ケニーも将来を思い描くことができずにいる。そんなところが、トム・フォードの胸に強く響いたようだ。「人生は本当にハードで、とてつもなく孤立させることもある。それが、小説で印象に残り、映画ではそれをとくに描きたかった。」と強調している。

また、フォード自身が影響を受けたきた映画については、アジアンゲイ映画の金字塔ともされる『ブエノスアイレス』を監督・脚本を手がけたことでも知られるウォン・カーウァイのファンで、なかでも、とくに『花様年華』(’00)がお気に入りだという。そして本作でインスピレーションを受けた監督や作品は、アントニオー二やヒッチコック、ロマン・ポランスキー監督の『チャイナタウン』を挙げている。「でも何かを意識して撮ったわけではない。僕は映画が大好きでよく観ているし、頭のなかにはファイルのキャビネットみたいにいろいろな情報が詰まっている。」とも語り、本作はあくまでも特定のスタイルを意識せずトム・フォードが思いつくままに撮ったオリジナルであることを強調している。


[ 1 ] [ 2 ] [ 3 ] [ 4 ] [ 5 ] [ 6 ] [ 7 ] [ 8 ]


kanrenkiji.jpg

【マーク・ジェイコブスが結婚!?】
ゲイとしてオープンなマーク・ジェイコブスが恋人と婚約