国際的アーティスト・ピュ~ぴるさんのインタビュー

By Yuki Keiser


ピュ~ぴるさん

5.徹底したわがままとお姫さま感

――展示会と同時に、パフォーマンスも行うんですけれども、ピュ~ぴるさんにとってその位置づけや意味は?

パフォーマンスは1回限りのものだと捉えているのね。作品と連動しているのだけど、その場に残る、ゆっくり見られる作品に対して、パフォーマンスは15分ぐらいで変化し続けるもの。美術館に展示すると、ずっとそこにいるわけじゃないから、展示した時点で自分の元から離れていくじゃない? パフォーマンスを行うと、自分が、今この世界に生きている実感が湧いてくるの。オーディエンスが目の前にいる瞬間の、熱気や緊張感を感じたいの。

ピュ~ぴるさん
※作品が展示されているギャラリー

――人生そのものをアートとして、アーティストとしての生活もすべて徹底していますよね。

ええ。そうですね。その生活が出来るのは彼氏や多くの強い絆の仲間に支えられているからこそです。人生が繋がっていないアートに私は響かないし、むしろ、それは芸術ではないとさえ思っています。

――アンディ・ウォーホルのファクトリーみたいですね。あのコンセプトはとても好きなんです。

それに近いものはあるかもしれませんね。私は死に対して、強烈に執着や怖さを感じているの。「自分がこの世からいなくなる」という想いが常に根底にあるから、長く薄く生きるんじゃなくて、一瞬でもいいから嵐を巻き起こして死を迎えたいと思っているの。怖いんだけどね。だからこそ、活きようと。だからこそ残そうと。

――海外では、たとえばデヴィッド・ラシャペルやキャシー・オピーなど、第一線で活躍するカミングアウトしているゲイやレズビアン、クィアで、ハイエンドや名高いアーティストがたくさんいるのに、日本ではまだそんなにはいないので、そういう人がもっと出てきたらといつも願っているんですよ。東京や日本のクィアならではのカルチャーがもっともっと発信されたらいいですね。

そう。だから、一人の力ではなくて、たとえばカイザーさんのプロジェクトTokyo Wrestlingだったり、いろんなライターだったり、それぞれの分野のいろんな人が時代をつくっていくという意識が大事なのだと思う。個人的には、クィアの人達のほうがアートの面で優れていると思うのね。というか、私が好きなアーティストはみんな、偶然ゲイやレズビアンだったりするからなのだけど。

――ゲイ独特のセンスって、何だと思いますか? 

よく言われるのが、ユーモアと独特の色彩感覚かな。あと、 “お姫さま感”というか、 “わがままっぷり”が徹底しているから、隙がない。たとえばヴィスコンティ監督の映画はとても豪華よね。衣装やライティングなど、徹底したわがままというか、「こうじゃないとダメよ」という厳格なこだわりが見えてくる。

もちろん素晴らしいストレートのアーティストもいるけれど、クィアじゃない人が創るものって、多かれ少なかれ、何処かに隙があるように見える。 “並より良い”けれど、“並よりずば抜けた感”はないというか。クィアたちは、天使にはなれないけれど、堕天使や落ちぶれた天使だからこそできる 「美」というのがあるはず。普通の天使はありふれているけれど、優等生じゃない天使たち、まぁ、“不良の天使” (笑)が、なんか面白いものをつくる。みんなもそれを求めているんだよ、きっと。

――才能あるクィアがつくる作品って、とにかくひねりがありますよね。視点が疑っているというか。もちろん人にもよりますけれど、クィアたちは小さいときから、学校で教えられることやテレビで見ることを鵜呑みにしなかったり、情報を疑う傾向があるような気がしますよね。ちなみに、現在のルイ・ヴィトンやシャネルなどのデザイナー同様、ファッションデザイナーは、ほとんどがゲイですよね。ピュ~ぴるさんにとっても、ファッションは重要な要素?

ええ。ファッションとアートの両方好きで分けていないのよね。海外や特に日本は分かれているんだけれど、私の場合は、たとえばコスチュームやメイクアップなど、アートのなかにファッションの魔法を含めている点もあるの。

――好きなゲイのファッションデザイナーは?

クラシックなテイストが好きなので、昔のイヴ・サン=ローランは好き。あとディオールの昔のラインなど、普遍的なエレガンスが好き。。

――イヴ・サン=ローランについて余談ですけれど、米LGBTニュース誌『The Advocate』に、ゲイとしてカミングアウトしているデザイナー兼映画監督、トム・フォードのインタビューが載っていたんですね。そのなかで、フォードがイヴ・サン=ローランでデザイナーを務めていた時期、イヴと恋人のピエール・ベルジェに散々いじめられたことをぶっちゃけていて、根に持っているようでした(笑)。

本当!?

――「いままで僕は黙っていたけれど、あの2人には嫌がらせばかりされて、人生最悪の時期だった!」的なコメントを言っていた(笑)。事実は知らないけれど、トム・フォードの成功と人気に嫉妬してカップルでいじめる絵は想像つくというか(笑)。で、それをずっと根に持っていて暴露してやるっていうところがまた笑えました(笑)。

そうだね、そのへんのオカマ感も面白いね(笑)。みんなお姫様だから(笑)。でも、ファッションワールドは特に、“お姫さま感”がないとやっていけないね。

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