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3.通常のポルノ映画との違い
――エミリーの初監督作品『One night Stand(原題=ワンナイト)』(以下ONS)はレズビアン・ポルノ映画なんだけれど、フェミニストな作品でリアルなレズビアン&クィアカルチャーも垣間見られるところが個人的にとくに気に入っているの。たとえば、女優やFtM男優たちは本当のクィアに見えたり、サウンドトラックにはダイクシーンで活躍しているクールなレズビアン・バンドも多かったり。エミリーからして、ストレートの男性がつくるレズビアンセックスを演出したポルノ映画とONSの根本的な違いは?
たくさんあると思う。まず通常のポルノ映画では、ほとんどの場合は男性が“レズビアン・セックス”と言われているシーンや女優たちを監督しているわよね。要するに、監督自身が経験したことのないセクシュアリティについてのシーンで、男性の欲望の視点から撮っているのよね。それと比較してONSに関しては女性が監督している映画で、さらにその女性は、その内容について経験済みというか詳しいというか(笑)。
また、ストレートの男性がつくっている映画の大半は女優がストレートだから、彼女たちはレズビアンのセックスを真似しようとているんだけれど、自分のセクシュアリティではないので何をどうすればいいのか全然わかっていない。そもそも男性を興奮させるために彼女たちは監督のファンタジーの指示に従っているだけなので、(レズビアンの視点からすると)バカげたあり得ないシーンに仕上がっているの。
※エミリーの最新作『QUEER X SHOW』にも出演しているジュディ・ミンクス(Judy Minx)。ちなみに以前、TWでご紹介したフランスの粋なイベント「kiss-in」のスナップにも登場。
人物たちもいつも(フェミニンなレズビアンの)ステレオタイプだったりと、とにかくたくさんの要素から、男性に向けた作品だってわかるし、実際のレズビアンからしたら信憑性のない映像ばかり。
さらに、男性がつくったレズビアン・ポルノ映画では、多くの場合最終的にストレートの男性が登場して、“レズビアン”たちの間に割り込んで、もちろん大歓迎される、という(笑)。快楽の視点はいつも男性中心で、男性がイッてから映画が終わるって感じ。だから女性がイッているのかよくわからないんだけど、まぁどっちにしても女性はいつも叫んで超気持ちよさそうにしているから関係ないみたい(笑)。それと比較して、私の映画では女性たちが何をしたい・されたいかを選んでいる。
――女優たちのアドリブなの?
アドリブではないんだけれど、撮影する前に女優たちとたくさん打ち合わせをしている。セックスの時自分たちが何をする・されるのが好きなのかなどをたくさん話しているの。
――俳優たちはみんなクィアに見えるんだけれど、実際は?
そう。みんなレズビアン、バイセクシュアル、クィア女性、またはFtMトランスでゲイ、FtMトランスでストレートの男の子たち。さらに、ジェンダーが決まっていない人たちも出演している。また、公私でも実際にカップルな人たちもいるけど、それは稀。
※エミリー(左)と数年前から付き合っていてラブラブ中の彼女。
――エミリーにとって、俳優たちが実際にレズビアン、バイセクシュアル、FtM、クィアだってことは重要?
完全に基本。この作品は、「レズビアン/クィアが演じる、レズビアン/クィアのための、レズビアン/クィアがつくった映画」にしたかったから。
――その反響は?
映画がリリースされる1年半前から、映画の進行日記をブログで書いていたのね。それで多くの女の子が読み始めて、熱い議論が始まったの。フランスの多くの子たちは、(レズビアンにとって)下劣な作品になることを恐れて、この企画に反対していたのね。そういった経緯もあって、パリでこの作品がリリースされたときはクレイジーだった! パリのゲイ&レズビアン映画祭で上映されて、巨大な映画劇場「Rex」が満席だったほど。
(同様に上映された)サンフランシスコやベルリンでは反響がとても良かったのと比較して、パリではとても緊迫していたの。まずフランスのメンタリティのほうがベルリンやサンフランシスコより保守的だというのと、劇中の女優・役者たちがフランス人だったからみんなすごく親近感を感じていたのね。なかでも個人的に女優などを知っている人も多かったから、他国よりもっと関わり合いが深かった。多分、自分たちを象徴している作品かのように、個人的に捉えたんだと思う。でもそんな懸念があっても、最終的には反響は良かった。
Photos by Emilie Jouvet
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