ベオグラードのレズビアン活動家とのインタビュー

By Akiko M Jordanovic


セルビア

1.身の危険を感じることが
セルビア

南東ヨーロッパ、バルカン半島中西部の内陸に位置するセルビア共和国の首都、ベオグラード。同国ではホモフォビアがまだ根強く、ゲイプライドの開催において、これまでネオナチ・ファシスト等からの暴力など、度々トラブルが起こった。そのため今年の開催(10月10日)も、場所等は最近まで公表されなかったというほどだ。

今回は、ベオグラードのゲイプライドの実行委員でもあり、NGOのレズビアン人権団体を手伝ったりと、様々なLGBT活動に取り組んでいるマイダ・プアチャさんに直撃インタビューを行った。自身のカミングアウトで失ったことや、ゲイプライドの開催の危機などについてオープンに語ってもらった。

マイダ・プアチャさん
※様々なLGBT活動に取り組んでいる、ベオグラード在住のマイダ・プアチャさん。

――セルビアで同性愛者が置かれている状況について、日本ではあまり知られていません。昨年、CeSID社(セルビアのリサーチ社)によると、セルビアの同性愛嫌悪者は70%にまで上がるという結果が出ましたが、現在はいかがでしょうか?

そうですね。70%は昨年の結果で、今年は少し下がって、67%くらいですね(笑)。

――やはりまだ多いですね。セルビアで、同性愛嫌悪者がそれほど多い理由は何だと思いますか? たとえば、宗教が関係しているなど?

宗教よりも、90年代から台頭してきた「国粋主義(ナショナリズム)」の思想の影響が大きいのではないかと思います。90年代より始まった内戦や経済制裁、そして99年のNATO軍の空爆によって、セルビア人は経済的に大きなダメージを受けました。それで失業率も高く、人々は不満を溜める一方で、国粋主義が現れる環境になってしまったのです。国粋主義者の中にはファシズムにエスカレートする人もたくさんいたので、ホモフォビアにも繋がりました。ファシストは自分たちと違う人種、民族やマイノリティを排除すべきという思想を強く持っているので、必然的にゲイやレズビアンも攻撃の的になりました。

ちなみに、ファシズムが浮上する以前の70~80年代では、確かにゲイやレズビアンに対して偏見はありましたが、表立って攻撃する人までは存在しませんでした。また、その他にもホモフォビックな政治家もたくさんいるので、その影響もあると思います。

――嫌がらせはどのような形なのでしょうか? ご自身も攻撃されたことがありますか?

はい、あります。基本的に、昼間行われるよりも夜の方が多いです。私たちLGBTにとって、外を歩くのはとても厳しいのです。もちろん、恋人と手をつなぐことは考えられません。具体的な嫌がらせとしては、たとえば外を歩いていて、バスの中などで若いネオナチのグループから「ダイク!」(=“レズビアン”の侮辱的用語)などと、罵られることがあります。無視して問題なくすむこともありますが、中には暴力を振るってくる連中もいます。そのためにも、催涙スプレーをいつも持っています。実際、やむを得ず使ったこともあります。(と言ってスプレーをポケットから出して見せてくれた)。

また、2001年、ベオグラードで行われた初めてのゲイプライドは私にとって、とても苦い思い出になりました。女性の友人といるとき、ゲイプライド反対派グループが私たちに向かって「ゲイ!」と叫びながら攻撃してきたのです。その間、近くに警察官がいたのですが、守ってくれるどころか、アイスクリームを食べながら傍観しているだけでした。本当に残念です。


★ベオグラードのゲイプライドのオフィシャルサイト↓
www.parada.rs/

取材協力:Serbian Walker (www.serbianwalker.com/

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