『スプリング・フィーバー』

By Yuki Keiser


『スプリング・フィーバー』

1.制作禁止の中、ゲリラ的に撮影を

映画『天安門、恋人たち』(’06)で、天安門事件を描いたため中国電影局の許可が降りなかったにもかかわらず、2006年カンヌ国際映画祭コンペティションで作品を上映したため、当局より5年間の映画制作・上映禁止処分を受けたロウ・イエ監督。そんな逆風の中でも彼は、その処分を無視し、家庭用デジタルカメラを使用しゲリラ的に撮影を敢行して2008年に発表した作品が『スプリング・フィーバー』(‘08)だ。結果、検閲という束縛がないことにより、かえって自由な映画制作を行うことができたという。そして、09年のカンヌ国際映画祭コンペティションで、見事に脚本賞を受賞し、現在、ロウ・イエ監督は世界中でさらに注目を浴びている中国の才能溢れる監督のひとりなのだ。

今回は、今年の夏、東京国際ゲイ&レズビアン映画祭から招待され来日した主人公を演じる俳優チン・ハオ(ジャン・チョン役)とチェン・スーチョン(ルオ・ハイタオ役)のインタビューを掲載。役作りや気になる電影局の禁止令、劇中に登場する実在のゲイクラブの愉快なエピソードなどについて、語ってもらった。

【story】
前作「天安門、恋人たち」(06年)で5年間の映画製作禁止処分を受けたロウ・イエ監督が、現代の南京を舞台に、5人の男女の、移ろい、漂いゆく愛と生活を物語る。2009年カンヌ国際映画祭脚本賞受賞作品。

女性教師のリンは、夫のワンに愛人がいるのではないかと疑い、ルオという名の若者を探偵として雇い、夫の行動を探らせる。その結果、夫が密会している相手 が女性ではなく、ゲイの青年ジャンだったことがわかり、リンはショックを受ける。リンとワンの結婚生活が破綻に向かう一方、ジャンは苦境に陥ったワンから 距離を置き、この一件で知り合ったルオに接近するが…。

★東京国際ゲイ&レズビアン映画祭の際にいただいた俳優たちのビデオメッセージはこちら

『スプリング・フィーバー』
※『スプリング・フィーバー』の俳優チン・ハオ(左、ジャン・チョン役)とチェン・スーチョン(ルオ・ハイタオ役)。

――2006年より5年間、中国の映画製作禁止処分を受けていたロウ・イエ監督の作品に出演することや、(中国ではタブー視されている)同性愛を描く作品において、何か懸念はありましたか?

チン・ハオ(ジャン・チョン役)
一定期間撮影を禁じられた監督でしたので、ロウ・イエ監督からそのお話をいただいたときは、ひとりの俳優として、また中国の伝統的な道徳観念からして、作品に出るべきか否かは、当初は少し迷いました。でも、ロウ・イエ監督は非常に優秀な監督ですので、そういう素晴らしい監督の作品に出ないわけにはいかないとも思いました。

チェン・スーチョン(ルオ・ハイタオ役)
禁じられていることは政治的な側面で、私は、映画というのは、世界共通の言語だと思っているんですね。そして、政治的なことと芸術的なことはまったく別のことですので、関係ないことだと感じています。ただやはり、映画を撮ること自体は可能でも、その後上映できるかどうかというのが問題ですので、その点では少し心配でした。

――ロウ・イエ監督は、「僕は命がけで映画を撮っている」と発言するほど、映画に情熱を注いでいますが、撮影や監督の印象はいかがでしたか?

チェン・スーチョン
彼は、「映画のためなら、どんなこともやりぬく」監督なんです。そのためには、他の全てを犠牲にしても構わないし、自分はどんな苦しい目にあっても、それをやりとげます。その信念がロウ・イエ監督のすごいところだと感じて、それを間近に見て感動しました。

チン・ハオ
ロウ・イエ監督の一番の印象は、とても純粋で、ピュアな気持ちで映画作りをしているということです。彼は、普通の生活もしながら、映画にきちんと向かい合い、そして、突き進んでいくところがとくに魅力的。そんな意味でも、彼の映画は、 “製品”とは違って、アートだと言えると思います。


『スプリング・フィーバー』
●英題/Spring Fever
●監督名/ロウ・イエ
●製作年/2009年
●製作国/中国、フランス
●トークセッションのキャスト/チン・ハオ(QIN Hao) & チェン・スーチョン(CHEN Sicheng)
●協力/アップリンク
●公式ウェブサイト/www.uplink.co.jp/springfever/

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