Tokyo Wrestlingエディターズの編集後記。編集にまつわる裏話や、世界をまたぐTokyo Wrestlingフレンズからのお便りを紹介。
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Y.keiser2008

メイプルソープ

先週の金曜日に、INFOでも紹介した、写真家ロバート・メイプルソープの「勝訴写真集」展示会に行ってきました。

この「勝訴写真集」の経緯を簡単に説明すると、99年にUPLINK社長・浅井氏がメイプルソープの写真集を国内に持ち込もうとした際、関税定率法21条により「男性器のアップの写真などが含まれており、わいせつ物にあたる」として、国に輸入禁止を命じられました。この国の判断を違法とし、写真集輸入禁止処分の取り消し訴訟を起こし、勝訴の判決が今年の2月19日に最高裁で下されたのです。これを受けて、その写真集の展示会が開催され、原告の浅井氏がトークショーを行ったのがこのイベントです。

今回の勝訴の要因としては、性器が映る写真のページ数は比率的にかなり低い(19/348ページ)、モノクロの写真であること、作品の構図、ひとりの写真家の作品を1冊にまとめた編集、メイプルソープが現代美術の第一人者として高い評価を得ていること、そして写真集の芸術性の点で輸入禁止すべきでないという判決だったそう。(詳細は、こちら

会場には、生活総合情報サイト「All About」同性愛ページの人気コーナー「かるなび」などで活躍しているJunchanにばったり会いました。取材で来ていて、今度「All About」にこのイベントのレポートを掲載する予定だそうです。気になる人は、こちらチェックしてみて。

メイプルソープ
イベントで詳細を説明する浅井氏


このトークイベントには個人的にとても興味があり、この裁判には親近感を抱いていました。私は頻繁にアメリカに取材に行っていて、ダイクカルチャーの本や雑誌をいつも持ち帰ってきます。その中で、女性器が写っているアート写真集なども当然持ち込んでいます。ダイクカルチャーやフェミニズムの作品には「女性の体の解放」といったコンセプトから、ヌードや、過激な性描写を含む作品も少なくありません。以前、INFOでご紹介したオランダのレズビアンアート誌『Girls Like Us』もその点では号によってはギリギリのラインにいて、昨年末の出張で個人的に持ち帰ったフェミニスト&レズビアン・アートイベント『Ridykeulous』の作品をまとめた本などは、完全にアウトといえます(笑)。(何がアウトか知りたい人は、こちらを見てみて!) 偶然荷物を検査されませんでしたが、自分はポルノやエロティックな作品を持ち込んでいるつもりは全くないのに、もしかしたら「わいせつ物輸入者」扱いされていたかもしれないなんて…(笑)。

また、日本で、映画(ポルノではない一般の映画作品)に「ボカシ」が強制されていると知ったとき、とても驚かされました。私の産まれ育ったスイスやフランスなどでは基本的にボカシはありませんので、R指定で作品が観られるかどうか決まり、あとは大人だったらヘアぐらい観ても問題ないんです。たとえば、日本でホラー映画『シャイニング』を見ていたとき、ある怖いシーンで女の裸に無理矢理ボカシがつけられたのを見つけ、すごくしらけたのを今でも覚えています(笑)。

語りたいことはまだまだありますが(笑)、とにかく今回のこの画期的な勝利には感激すると同時に、ホッとしています。性器のアップが含まれていたら問答無用でアウトなのではなく、作品の芸術的観点から議論の余地はある、と。今度の出張の帰りに税関で何か言われたら、さっそくこの例を述べさせてもらおうと思います(笑)。

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08.03.13


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